三日目の初めての来客
今日もまずはぬいぐるみ売りから。
さて、一番初めに来るのはどんな人かな?
小学校三年生か、二年生か、一年生か、それとも幼稚園、もっと小さい子かも……。あ、昨日と考えていることが同じだ。
「優、なんか今日は昨日よりもさらにロリコンっぽく見えるからお客さんが来る前に頑張って直しといて」
美雨に指摘された。
これも昨日と同じじゃないかよ。僕は純粋にどんな人が来てくれるのかを楽しみにしてるんだからな。しっかりと理解して欲しいな。
一番初めに来た人は……うわっ派手だな……。
ぬいぐるみを抱えているイメージが本当にぴったりの超お嬢様という感じの人が来た。というかプリンキュートに出て来そうでもある。
そして何というか……ぬいぐるみを抱いている姿の写真集が出せそうなくらい美少女。
「いなぎしょうたーん! 来たよ!」
え、稲城の知り合いなの?
僕は驚いたし、美雨と美濃は二人揃って口をだらしなく開けていて、二人の幼い顔は分数計算がわからなくてぽかーんとしている子どものようだった。
そして肝心の稲城は……。見えてないのかなってくらい淡々としているんだが……、いや、なぜかいつも以上にタイピングのスピードが速くて、画面が顔に近い。
これは本当に知り合いのようだ。
「ねえ、いなぎしょうた! いなぎ? しょうた? 無視しないでよ〜!」
「あのー、稲城とは友達……?」
「そうだよ。おんなじ塾で、いつも毎授業隣の席で勉強してて、お互い切磋琢磨し、友情も発展しているって感じなのに! 無視された〜つらいよ〜」
同じ塾なのか、なるほど。稲城、そう言えば塾行ってたな。学校の授業はさぼるのに塾は毎回行ってるのか。……ってことはまさか!
僕は稲城の前で稲城を呼び続けている最初のお客さんを見た。
うん。やはり。
派手な服に包まれているのは、おそらく、割と大きいおっぱいだ。
でもなんか稲城鬱陶しそうにしているな。
「しょうた、ちゃんと部活やってたんだね。えらい! ねえ、反応ないと本当に寂しいんだけど。私が学校の人と友達づきあいした方がいいよってアドバイスしたおかげで、しょうたは、図書室か塾で勉強しかしない人間を卒業したんでしょ?」
「え? そうなの稲城?」
僕の問いかけに稲城はやっと口を開いた。
「否定はしない」
稲城は普通に認めた。
そうか、こんな明るい人と塾で一緒だから最近だんだんこう……いい意味で普通に近づいていたのか稲城は。
人間、色んなところで色んな人に影響されるもんだな。
お読みいただきありがとうございます。
いつか、稲城とこの女の子の話も書いてみたいな……と考えつつあります。(書くとしてもかなり先になると思いますが)