表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ランドセルを背負ったうみがめさん  作者: つちのこうや
文化祭編
58/73

一人目のお客さんは小学生、ではなくて


 さて、一番初めに来るのはどんな人かな?  


 小学校三年生か、二年生か、一年生か、それとも幼稚園、もっと小さい子かも……。


「優、なんか今日はより一層ロリコンっぽく見えるからお客さんが来る前に頑張って直しといて」


 美雨に指摘された。小さい子を想う優しい表情とかではなかったようだ。誠に残念。



 そして、一番初めに来たのは、大学生くらいの女の人だった。


 あ、残念に思ってるなんてことはない。単に小学校三年生以下かな〜? と思っていただけで、それを期待していたわけじゃないから。


「いらっしゃいませ……」.


 と挨拶をする前に女の人が頭を上げていた。ぬいぐるみがこてん、と倒れるくらいの勢いで。


 礼儀正しいすぎる人ってことでいいのかな……? と思っていると、


「あの、ぬいぐるみ部ですよねここ」


 顔を少し上げてその女の人が尋ねてきた。


「あ、ぬいぐるみ部です」


「ぬいぐるみ部が前に、屋上に閉じ込められたせいで授業に出れず、一時活動停止になったという話を昨日聞いたんです」


 そうだ。前に低めの屋上で美雨と美濃と話し合っている時に、鍵が閉まって閉め出されたことがあった。


「はい。確かにそういうことがありましたが……」


「あの、ごめんなさい! 私、ここに教育実習に来ていて……その時にお昼の戸締りを任せられたことがあったんです。その時に私、ぬいぐるみ部の方々がいるのに気づかずに屋上の鍵を閉めてしまったと思うんです。誰も使っていないところだと思ってて……ごめんなさい」


 申し訳なさそうにずっと頭を下げ、本気で謝っているようだった。


 でも学校のことをよく知らない教育実習生があそこを誰も使っていないと思うのも普通の話だし……。


「いえ、結局そんなに問題なかったので大丈夫ですよ」


「ほんとですか? しかしそれでも申し訳なさすぎるので、せめてぬいぐるみをたくさん買って行かせていただこうと思いまして……あとお詫びとしてつまらないものですがお菓子も……」


 女の人は美雨にお菓子が入っていると思われる袋を渡してから、ぬいぐるみを次々に手に取った。


 ああ、そんなに気にしなくても……。ぬいぐるみを買ってくれること自体はすごく嬉しいんだけど……。




 こうして、開門すぐに、十五個も一気にぬいぐるみが売れた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ