キャラ・世界観・設定
1.主要キャラクター
○アッシュ・ノーマン
本作の主人公。アース出身のヒト族で孤児院育ち。両親を失う事故で受けた傷の後遺症で体内のエーテル系に問題を抱えており、20歳は迎えられないだろうと言われていた。だがアースが高度な機械技術を持つ文明と接触したことにより、10歳の時に救われる。動けなかった頃は周りを「見ている」ことしかできなかったが、そのためか「見て覚える」ことが非常に得意。克服してからは以前より憧れていた次元の探索者・レンジャーとなるため養成所に通い、「見て覚えた」技術を「使う」そして「工夫」することで才覚を発揮した。養成所の卒業試験でとあるスカウトの目に留まり、ギルドへの紹介状を渡された。
○アイリ・コーデッド
ヒト族でアッシュと同い年。アッシュがギルドの拠点に向かう際に乗った次元渡航船に乗り合わせた。両親が傭兵団を率いており、そこに混ざって戦闘に参加していたことがあるため、実戦経験は同年代のレンジャーの中では群を抜いて多い。愛用の片手剣を常に携えているが、法術も比較的得意。
○レイ・クロノ
ヒト族。アッシュの行ったギルドの受付で出会い、スカウトからの推薦という形でアッシュのチームに加わる。表情が乏しくあまり喋らない。身長と同じくらいの長さの太刀を持ち歩いているおり、実力はアッシュやアイリよりも高い。
◯ニーナ・リストルテ
依頼の受注などの管理をしており、アッシュ達が最も接する機会の多いギルド職員の女性。
2.設定
①世界観
現在ディーバはシャドウ次元であるルーズを含めて、次元開発の基点であるD0を中心に28の次元が連結している。それぞれの次元は発見された順番に番号が付けられており、現時点で文明を持つ次元は6つ(D2,D3,D6,D13,D24)存在している。6つの文明はそれぞれ「アース」「パンデム」「エデン」「イルゲイト」「ターレント」「メルカドル」と命名されているが、現在はいずれの文明も新次元開発を行うことで複数の次元を持っているため、これら6つ名前は複数の次元をまとめた領域の名前として扱われている。いずれの文明もギルドと呼ばれる組織を構えており、このギルドがその領域内でのトラブル対処や新次元の探索、発見した次元の調査などの役割を担っている。なお実際にこれらの件で動くのはギルドに所属するレンジャーと呼ばれる者達で、アッシュ達もギルド所属のレンジャーとなる。
またパンデム,エデン,イルゲイトの3領域ではエーテルを用いて行使する「法術」が一般化されており、パンデムとエデンの間では限定的ではあるがアースよりも先に次元を超える方法を手に入れていた。
②次元開発
ディーバの中心であるD0。そのD0の中心である惑星”アース"では500年程前にワームホール理論が確立し、予め設定した場所ならばどこへでも瞬時に移動ができるポータルが開発された。この技術でもってアースは宇宙の制覇へと手を伸ばしたが、並行して理論の更なる応用も進められた。それが「別位相に飛ぶ技術」として300年程前に実を結んだのが次元開発である。
次元開発の最大の特徴はコストの安さにある。次元探索は謂わばラジオの周波数を手動で精密に合わせるようなもののため時間は掛かるが、時間さえ掛けてしまえば似たような経緯を辿り生物が住みやすい環境が整った星にアクセス出来るため、他惑星のように生きるための環境作りから始める必要が無い。また時間感覚や重さといった概念もそのまま用いることができるという明確な強みもあった。
ただ一方で次元を渡った先に同じように文明が存在し、そこに住む者達と上手く付き合えるのかという問題もあった。実際に2番目に繋がった次元に存在した文明(現在のパンデム)との間では、付き合い方を模索している最中に研究者が多数連れ去られるという事件が起きたこともあった。
この時は死傷者もいなかったことなどから穏便に済み、また3番目の次元(現在のエデン)とはそのような問題が無かったことから次元開発は継続となった。
そして今から100年前、人類(当時は既にヒト族という呼び方になっていたが)が始めて次元を渡ってから凡そ200年経った頃、とある科学者の手によって次元渡航は一気に簡便なものとなった。
③エーテル・法術・装術
エーテルと呼ばれる体内から空気中まで汎ゆるところに存在するエネルギー源を用いて、体外で様々な現象を引き起こす術を法術と言う。法術やエーテルは次元開発が始まる前のアースでは未知の存在であったが、パンデムやエデンと繋がったことで存在が知られるようになり、イルゲイトと繋がったことで広く一般化されることになった。またターレントではエーテルを用いた法術は使われていなかったが、身体の周囲にエーテルを展開することで身体能力を強化する"装術"が使われていた。
エーテルはその性質から「水、火、土、木、光、闇」の6種類の元素(属性)に分けられる。空気中などにあるエーテルはこれら6つの元素が等しく混ざり合って不活性化した状態になっている。法術を使う際には体内を通してこれらの元素を分解して放出することになる。またエーテルを大量に使えば強力な法術を使うことができるが、当然ながら出力の限界もある。限界を超えた出力を行おうとすると分解・活性化を行う体内の器官に支障をきたし暴発する畏れもあるため、非常に危険な行為である。このため大出力が必要な場合は効果の一部に制約を掛けることで真に欲しい効果を高め、出力を抑えつつ強力な法術を用いるという方法が取られている。
またエーテルの分解・活性化・法術の発動までの流れを機械で行う技術も発明されている。近年は機械技術の発展もあって安定的に制御出来るようになっているため、産業分野だけでなく汎用機器にも取り入れられるようになってきており、エーテルや法術の一般化が益々進んでいる。
このようにエーテルを扱うことはアースでも急速に常識化しつつある。身体能力が劣っていてもエーテルの扱い方が上手ければ、いくらでも代わりの方法が取れるようになってきている。それこそエーテルや法術で身体を強化してしまえば、差は無いようなものである。もちろん身体能力が高い者が強化を使った方が、より効率的ではある。
④6つの文明領域(+2つの非文明領域)
○アース (中心次元:D0 連結次元:D1,D4,D5,D7,D18 ギルド:次元開発機構)
ディーバ超次元線の中心的な役割であり、次元開発など総合的な科学技術力が最も優れている。ヒト族によって支配されている。中心次元であるD0は次元開発が行われるよりも前の過剰発展の影響が未だに残っているため手狭な場所が多い。またなぜか現時点で文明を持つ次元はD0を足掛かりにした場合に発見されている。ディーバの中心的な存在ということもあって他のギルドよりも遥かに任されることが多く、そのため他文明とのやり取りや次元の統括の拠点はD0にあるが、新次元の開発やレンジャーの管理を行うギルド本部はD1にある。
○パンデム (中心次元:D2 連結次元:D8,D11,D14,D16,D19,D20 ギルド:魔王軍)
アースが最初に遭遇した文明(第二文明)。魔族と呼ばれる多種族で構成されており、ヒト族に近い形状にアースでも見られる動植物などが混ざったような容姿をしている。非常に好戦的であり、発見当時は1つの次元で支配者同士が争っていたことに加えて、後述のエデンとも戦争状態にあった 。現在はD2を中心とする7つの次元それぞれを支配するという約定によって落ち着いており、またエデンとの戦争もアースの仲介で終結している。
○エデン (中心次元:D3 連結次元:D9,D12,D17 ギルド:クルセイダーズ)
第三文明。とは言えアースがD2を発見した当時から既に繋がっており、それを足掛かりにD0からの接続ルートを捜索したに過ぎない。天使族と呼ばれる純白の羽を持つ種族と、それらの頂点に立つ神と呼ばれる人物によって構成されている。ギルドはパンデムと戦争をしていた時代に将軍の地位にいた4名の子孫が連名で代表を務めている。D3に居を構えている者は他文明との交流に積極的だが、基本的には閉鎖的で他文明との交流に消極的な者が多いため、ヘヴンに行く際は天使族を連れていない限りはD3までにしておいた方が良いだろう。
○イルゲイト (中心次元:D6 連結次元:D15,D22, ギルド:法術会)
第四文明。法術の動力源であるエーテルの自然濃度が他の次元と比べて非常に濃い。身体の構造がヒト族と同じなため一般的には区分けされることは無いが、環境のせいかアース出身者より身体がエーテルと馴染みやすく、一方で身体能力では劣る点が多い。このためイルゲイト出身者をメイガス族と呼ぶ場合もある。質の良いエーテルを求めて森などの自然の中に少人数の集団を作って生活している。法術の研究に没頭しており他文明との交流には消極的、というよりそもそも興味が薄い者が多い。ただし一部には他文明の技術を法術に活かせないかと考えている者もおり、ギルド運営などはそういった者達が担っている。
○ターレント (中心次元:D13 連結次元:D21 ギルド:原野の民)
第五文明次元。イルゲイトと同じく身体の構造はヒト族と同じため一般的には区分けされることは無いが、エーテルを体内に巡らせることで身体能力を飛躍的に向上させる能力を生まれながらにして持っており、一方でエーテルを体外に放出する法術は苦手な者が多い。このためターレント出身者をモンク族と呼ぶ場合もある。恐竜がいるなど太古のアースと生態系によく似ていると考えられる要素が多いため、学問上の都合で積極的な開発を行わずにレンジャーによる未開拓領域の調査のみを行っている。
○メルカドル (中心次元:D24 連結次元:D26 ギルド:MUMA)
第六文明次元。機械技術が発展しており、この点においてはアースをも凌ぐ。ドロイド族と呼ばれる機械生物によって構成されている。最も新しいというのもあるが特にアースとの交流に積極的で、最近では身体をヒト族の形状にするのが流行りらしい。生体適合性の高い物質の扱いに長けていることもあり、アースの医療分野はメルカドルの発見以降飛躍的に向上している。
○リレイク (中心次元:D10 連結次元:D23,D25)
文明は存在しない。正確にはアースが発見した文明が存在しない次元なのでアースの支配次元だった。しかしD10経由で発見した次元の3つ目でシャドウと遭遇することとなったため、繋がっている2つの次元ごとシャドウ制圧の拠点として独立させた。
○ルーズ (中心次元:D27 連結次元:-)
シャドウの次元。現在D10を拠点としてシャドウ制圧部隊が編成されており、レンジャー達の手で調査が進められている。シャドウに文明を築けるほどの思考能力が無いと考えられているが、調査の中で建物のようなものを見たという報告もあるなど、まだ不明な点が多い。
⑤レンジャー
新しい次元や未開拓地に赴いて調査を行ったり、危険地帯での採取や狩猟などを行う仕事。危険と思われがちだが、現在はギルドに所属していれば法術と科学の融合によってできた『エーテル体』という技術によって、殆ど危険が無い状態で活動できる。具体的には法術で作成したエーテル体に意識を移して活動場所に転送するという手法で、身体を安全な場所に置きながら活動を行うことができる。エーテル体が破壊されれば意識は強制的に身体に戻るため、謂わば遠隔操作ロボットのようなものである。ただし意識を移したエーテル体はあくまで本人のコピーであり、エーテル体になることでの筋力などの強化はないため、特別な訓練を受けていなければレンジャーとしてまともに活動することはできない。また大規模な法術を用いている都合で、クラスと呼ばれる制限が付与される。クラスは以下の12種類に分類される。
00.クラス名 武器区分 :1群 2群 3群
01.グラディエーター 片手武器・剣 :剣 短剣 細剣
02.ファイター 片手武器・他 :手斧 メイス フレイル
03.ナイト 両手武器・剣 :長剣 太刀 大剣
04.ウォーリア 両手武器・他 :大斧 ハンマー 両剣
05.スレイヤー 双武器・斬 :双剣 鉤爪 鋼線
06.ハイランダー 双武器・打 :ナックル トンファー 釵
07.ガーディアン 長柄武器 :ランス パルチザン 棒
08.ハンター 弓 :ロングボウ クロスボウ デュアルボウ
09.ガンナー 銃 :ライフル マシンガン ランチャー
10.ソルジャー 投擲 :ナイフ ボム ブーメラン
11.メイジ 法術 :ロッド オーブ スティック
12.ライダー 騎乗 :キャノン ハルバード チャリオット
レンジャーは出撃の際に3つの武器を持つことができるが、これは選択したクラスに該当する1群,2群,3群の武器を1つずつという意味で、同じ種類の武器を複数持つことはできない。レンジャーがこれら36種類の全てを使いこなすことは少なく、どれか1つか2つに絞って使用する場合がほとんどである。
各クラスの選択割合は大体同じ(ナイト,スレイヤー,ソルジャーが若干高い)だが、各クラスでの武器使用率の偏りは激しい場合が多い。ナイトやライダーは3つ全ての使用率がほぼ同じ程度なのに対して、スレイヤーやハイランダーでは3群の使用率は1%にも満たない。これは特に3群に分類されている武器は法術の制限を適用するために無理やり入れただけで、使用率を考慮していないことに起因している。
クラスごとの武器の分け方は、1群の全クラス平均使用率が7割に登るという点からもわかる通り、基本的には1群に分類されている12種類のどれかが重なってクラス選択割合に偏りが出過ぎないように成されている。
またレンジャーは大きくEランク〜Sランクの6段階に分けられ、更にそれぞれのランクで4段階に格付けされている。C以上になると数名のレンジャーによるチームのリーダーに就くこともできる他、ギルドでの待遇も大きく変わる。基本的にレンジャーになったばかりのものはE1から始まるが、スカウトという才能を見抜く力に長けた者に紹介を受けて上のランク以上から始まる場合もある。
レンジャーになるには資格が必要になる。資格を手に入れる最も簡単な方法は養成所を卒業することだ。卒業できれば手続きさえすればレンジャー資格を得ることができる。しかし養成所は年齢制限があるため、このルートを取りたい場合は十代のうちにレンジャーになる決断をしなくてはならない。このルートを取らずにレンジャーになる場合は、レンジャーの試験に合格する、というものになる。ただしレンジャー試験は年齢制限が無い分ハードルも高いため、普通は軍や傭兵団のようなところで実務経験を積んだ上でレンジャー試験に臨む。また稀にではあるが若いうちから実務経験を積んで、養成所に入れる年齢にも関わらず試験を受けてレンジャーになる者もいる。
⑥シャドウ
D10と繋がるD28で確認された黒い影のような不定形の生命体。ディーバに存在するあらゆる種族に対して攻撃を仕掛けてくる。意思疎通は不可能、生態は暗い所を好む以外は不明。表面に出た核という部分にダメージを与えることで死亡、消滅する。現在はD10とD28の間は徹底的に管理されているため侵入は防止できていると考えられるが、繋がった当初に相当量がディーバに溢れたため、未だにシャドウ被害は後を絶たない。
3.メタ視点での設定
・日にち、単位について
D0は時系列的に遥か未来という設定であり、またそれ以外の次元も(陸地の形など多くの点で異なるが)別位相の同じ星という設定なので、1日や1年の感覚は現実と同じである。また単位はアースを基準に統一されたため、秒・メートル・グラムが使われている。
・生活水準や時代感
アースやメルカドルは科学・機械技術が発展しているため近未来的な要素が多いが、それ以外の領域はそこまで文明のレベルは高くはない。パンデムやエデンはアースと繋がったのが早かったため比較的進んでいるが、元々が中世レベルであったこともあり全体的には現代のレベルと同等、都市部とそれ以外での格差も同じくらい。イルゲイトは興味を持っている者達が暮らしている地域はパンデムやエデンの都市部レベルだが、それ以外は自然のまま。ターレントに至ってはそもそも都市と言える場所が無い。
4.固有名詞 (必要があれば適宜追加)
①虚数空間生成端末
虚数空間を発生させて、物を収納して持ち運ぶことができる法術端末。近年は通信機能なども兼ね揃えたタイプのものも登場しており、生活に欠かせない物となっている。作中では単に「小物端末」「武器端末」として出てくる。
空間拡張の法術は制約無しで維持しようとするとエーテルの消費量がかなり多いが、拡張した分だけ時間の流れを緩やかにするという制約を付けて消費量少なくしている。この制約のため汎用性は低いが物の保管という点では制約もメリットになり得ることから、イルゲイトでは物置法術として利用されてきた。この法術が機械によるエーテル分解等の発明によって小規模であれば自動で維持できるようになり、これを複数並べて出し入れも機械操作で行えるようにしたのが虚数空間生成端末である。現在アイテム入れ程度のものは一般化しているが、武器のような大きいものを収納するものは値も張るため、レンジャーの間でしか流通していない。
②エーテル草
エーテルとの相性が非常に良く、他の植物の数百倍にもなるエーテルを保有する植物。一般に出回っているものは郊外の畑栽培されたものがほとんどだが、草原や森となど周囲に自然が多いところで育ったものは畑栽培のものより保有量が多いため、ギルドが所属レンジャー用に管轄区域で育てている。また大きくなるほどに周囲の栄養を吸収してしまうため、一定以上になったものから適宜採っていくとよい。
利用方法は食用や法術研究用など多岐に渡るが、レンジャーの場合はエーテル修復薬の原料として接することが最も多いだろう。また火山や川の周辺といったエーテルの属性に偏りがある場所では同じエーテル草でも効能が変化することが知られている。




