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爆縮と体温の機知(1)

スクラップブック

サラサラ鳴る草木に

妖精の保育園

飛び回りながら

横顔が映り込み

風の引率者が

少しだけ

がなり声を並べる

直立不動の木々

ちょっかいを出しては

枯れ枝を持っていかれる


張り付いた枯葉

香ばしい匂い

カラカラの中に

光が入っている

今日は雲が多かった

遠くに聞こえる

何も無い空間の音

分かってしまうのは

無意識に知っているから


冷たくて振りほどいたのか

温か過ぎて嫌になったのか

違う時間に

違う次元に

置いてきてしまったのだ

沸騰した鍋を見ながら

それを知りたくなった

赤く切れた手

忘れてしまう前に

もう一度

触れたかった


背負う物があると

知ったのは

黄色い帽子を被る頃

重たさにふらついて

そして

嬉しかった

大人になったような

気がしていたから

行きたくない日も

泣きながら歩いて行った


でも

帰りは

いつも笑っていた

甘えていたら

分からなかった物が

帰り道には詰まっていた

道端の草花

花壇の甘い蜜

アカハライモリ

蛇の抜け殻

それを

消してしまうことが無くて

本当に良かった


温かい声は通り過ぎていく

冷たい雨を知り歩いていく

違う物に

違う人に

残してきてしまったのだ

仰向けになった布団の中で

それを想像してしまった

擦れ合う爪先

忘れていて欲しい

もう二度と

必要は無いのだ


重ねた記憶は

既に

半分くらい

忘れてしまった

頭の隅には

重要性があるとは言えない

断片図

記憶違いや

勝手に作った記憶が

四方に飛び散るようなら

終わりが近づいた証拠かもしれない

芯から冷え固まる日に

くだらない物だけを

抱き締めているのだろう

いつかの帰り道

集めた枯葉のように



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