プロローグ
<生きるとは何か?>
家族と幸せな人生を過ごす、夢に向かって真っすぐ突き進む等、答えは人それぞれだろう。
しかし、この世界で生きている人にこの質問をしてはいけないタブーである。もしそんなことを問いかけたらならば顔面グーのおまけつきで皆こう答えるだろう。
<今を生き延びる事に必死なんだよ馬鹿野郎!!>
夢を語る余裕すらもうないのだ。
昼下がりの空が全体に紅く染まった世界で少女が一人息を切らしながら道を走っている。長袖の白いブレザーを身に纏い、背中まで伸びた黒髪を揺らしながら・・・。学校に遅刻したのかと誤解されそうだがそれは大きな間違いだ。道には彼女以外の人影は見当たらず、よく見ると道路や建物はヒビが入り所々ボロボロになっていた。何よりも彼女の顔は疲労しているようにみえる。まるでなにかから怯えながら逃げてるように・・・。
「はあ・・・、はあ・・・」
体力の限界なのか足を止めてしまった。身体は軽く痙攣をおこし、何度か咳き込んだ。後方からザクッという音が聞こえた瞬間、身体はビクッとなった。やがて彼女の表情は疲労から恐怖に変わる。後ろを振り向いてその音が何なのか確認しないといけない。もしかしたら誰かが自分を助けに来てくれたのかもしれない。そう言い聞かせ、僅かな希望を抱くよう努力した。自分の汗が割れたアスファルトに垂れ落ち、息を飲み込み、勇気を振り絞って後ろを振り返った。
だが彼女の表情は、疲労と僅かな希望から絶望へと突き落とされた。約百メートル先を見た彼女の瞳には大きな黒い犬が映っていた。いや、犬にしては余りにも大きすぎる。前脚から見える長い爪と大きな口、何でも嚙み砕きそうな無数の鋭い牙。そして血のように真っ赤な目をギラリとこちらのほうに向け、身体の周りには影のようなオーラが漂っていた。一歩一歩とこちらへ向かってくる。
「あっ・・・、あぁ・・・!」
異様な光景に彼女は声を漏らす。悪い夢なら早く覚めて!幻ならば早く消えて!!だが、自分の家族や知人たちがこの影のような獣に襲われ、亡くなった事を思い出し、現実であることを否定出来なくなってしまった。これから訪れる『自分の死』を悟り、身体を動かすことができない。瞳には涙が溢れていた。
「まだ死にたくないよぅ・・・」
彼女の意思なぞ関係ないと言わんばかりに影の獣は襲い掛かってきた。誰も助けに来ない事は知っていたが叫ばずにはいられなかった。最期の力を振り絞り、
「誰か助けて!!!!」
終末を迎えた世界で少女の声が鳴り響く。
<幻影の終末論>をご覧頂き、誠に有難うございます。作者のかぶらずと申します。
高校時代の現代文の評価2だった私ですが、何を血迷ったか小説を書いてみたいと思い、今に至ります。
さて、プロローグということもあって描写がありませんでしたが、本作品は影の獣<シャドウ>を相手に戦うバトルものとなっております。キャラクターも少しずつ増えていく予定です。
小説執筆初心者という事もあり右も左もわからない状態ですが、やらしい目で見て頂けると幸いです。
次作も随時執筆中です。よろしくお願いします。




