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「私はな、貴妃に、アイミに、王でなくてもいいと、言われたんだ。」
「…………」
「アイミは、王族の私ではなく、ただの私だけを見てくれた。
その時は、皇太子としての教育が、始まっていて……フィーリァとの関係も上手くいかなくなっていて……フィーリァには、別に好きな男がいたから、それは尚更で。
甘えだったんだ。ただ、甘えたかったんだ。
辛いことから、逃げ出したくて。
フィーリァを解放すれば良かったのに、下らないプライドで王妃の座に縛り付けて。
アイミと幸せになる自分を見せつけて……
ズルズルと……」
分かっていたんだ。甘えだったことを。王妃を、自分の臆病な自尊心で、傷つけていたことも。貴妃を甘やかしたものも愚かな虚栄心を満たすためだったのも。
全部気付いていた。
そう繰り返す、男は、王でも、父でもなく、大人になりきれなかった子供の、ただの人だった。
レナードは、泣きじゃくり出す、男に口を開く。
「………それでも、貴方は王です。
気づかれていたのならば、どう、決断すればよいかも、理解しておられるのでしょう?」