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「ボクが一体なぜ色々な街を訪れているかだって?
それ、いまさら?
うん、まぁ、そうだね。
言われてみれば、特に説明していなかったよね。
ボクはね、旅人なんだ。
生まれたときからね。
旅人の種族って言えばいいのかな。
どうして旅人かって聞かれたら、答えようがないよね。
キミも、どうして人間なのかって聞かれたら、答えられないでしょ?
ボクたち旅人の種族は、この羅針盤を基にありとあらゆる世界と空間を旅しているんだ。
キミの世界の羅針盤と良く似ているでしょう。
この羅針盤を起動すると、こうなるんだ。
驚いた?
ごめんごめん、最初に言っておけばよかったね。
起動すると、空中に透明球体が現れるんだ。
映し出される中身はちょっと宇宙みたいだよね。
この楕円の光るラインなんて、まさに惑星の軌道周回を描いているみたいでしょ。
無数に走っているから、ずっと見ていると目が回っちゃうかもね。
ボクたち旅人は、自分に合った羅針盤を生まれたときに親から与えられるんだ。
この羅針盤があるから、ボクたちは迷う事無く旅を続けられるんだよ。
でもね。
たまに次ぎの世界へ移動する時にトラブルに巻き込まれることもあるんだ。
キミもここにくる時に通ったでしょ?
そう、トンネルのような道だよ。
あの道は、たまに誤作動を起こすんだよね。
理由は分からないけどね」