竜の街
「次は、竜の街について語ってみようか。
お、その顔は興味津々?
やっぱりキミも竜が好きなんだね。
キミの世界だと最強の存在として知られているしね。
でもボクの行った街だと、最強とは少し違っていたよね。
まぁ、それも当然。
だって竜の街なんだから、町中みんな竜なわけだし?
その町ではね、竜達は普段はボクたちと変わらないような姿をしていたんだ。
いわゆる人型だよね。
鱗がびっしりと生えた尻尾と、立派な角がなかったら、人と見分けがつかないかもね。
そしてまだ人型を取れない子供達は、敵が周囲にいないせいかな。
凄く懐っこいんだよ。人見知りがないんだ。
よそ者のボクが街を歩いていたら、肩にぴょこんと子竜に乗っかられてね。
思わず抱きしめたくなったよ。
側にいた親御さんが怖かったから、ぐっと我慢したけどね。
でも実際に怖いのは子竜のほうでね。
竜の街では、大人たちはみんな世界を滅ぼす程度の力をナチュラルに持ってしまっているから、人化して力をセーブしていたんだ。
つまり、人化できない子竜は力をセーブできない。
ね? 凄く危険でしょう。
子竜が竜の大人たちに攻撃してもなんともないけど、ボク達なら耐えれないよね。
大人の竜に比べたらか弱いんだろうけど、世界を滅ぼす力を持った竜の子供の力なんだから。
でもね。
うっかり力が発動する不幸な間違いが起こらないように、街に入る時に受付で一般人にはちゃんと防御シールドリングが手渡されるんだ。
万が一、攻撃を受けても自動でシールド結界が形成されて、身につけた人の身体を守ってくれる。
このボクの手首に巻いてある腕輪がそう。
竜の街でも普通に売っている品物でね。
色違いを何個か購入しておいたんだ。
防御力もさることながら、細かな装飾が綺麗でしょう?
二匹の銀の竜が絡み合って、宝石を包み込んでいて。
見たことあるって?
うん、やっぱりキミも持っているんだね。
あぁ、いや、なんでもないよ、こっちの話。
竜の街では時折武道会が開催されてね。
みんなで強さを競うんだ。
魔法ももちろんありだよ。
武道会場を防御シールドで覆ってね、魔力やその他もろもろの衝撃を外部に漏らさないようにするんだ。
そうしないと、世界が壊れちゃうからね。
観客席ももちろん、ちっきりシールドで守られているから、安心して試合を見られるんだ。
世界を滅ぼすほどの武力と魔力を全力で競い合う試合は圧巻だよ。
もしキミが竜の街を訪れることがあったら、ぜひ試合を一度みて行ってほしいよ」