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プロローグ
その家は、一見、山小屋のようだった。
木造の二階建てで、小さな丸い窓が何個もついていて、家の横の大木に寄りかかるように建っていた。
一見重そうなバリサンダー色の木の扉は意外と軽く、押すと簡単に開いた。
そして中にはまるで来るのがわかっていたかのように青年がいて、にこりと微笑んでいた。
青年の黒髪はあちらこちらにピンピンと自由に跳ねていて、明るめの茶色い瞳はいたずらっ子のようにきらきらとしている。
一体彼が何歳なのかぱっと見ではわからない。
男性にしては小柄なことも、年齢不詳さに拍車をかけているのかもしれない。
「よく来たね。この場所にこれるのは大体魔法圏世界の人たちなんだけど、キミは科学が主流の世界から来たみたいだね。
うん、わかってる。ボクが行ったことのある街を聞きにきてくれたんでしょう?
ボクはありとあらゆる世界を渡り歩いている異世界旅行者だからね。キミの求める情報があるといいな」