発病
ある時、外山来翔は師匠である東崎雅孝と共に料理の研究をしていた。「来翔、今日はフランス料理の料理方法の一つ、ポアレでもしようか。」
「師匠。今日も宜しくお願いします。」
「さて始めようか。まずは、肉を…」
とその時、師匠は倒れてしまった。
「師匠!大丈夫ですか!」来翔は思いきり師匠を叩き起こす。
しかし、師匠は意識を失っている。来翔は急いで救急車を呼んだ。そして心臓マッサージを行って救急救命士を待った。
救急車は、五分ぐらいした後に来た。そして師匠を運び病院に運んだ。臨時休業にしてその日は師匠を見守ることにした。
きっと長年無理したんだろう。1人で店を切り盛りしてブラックな境地に追い込んでいたのであろう。
気が動転しながら、来翔はその様子を見守っていた。
病院に着くまでが長く感じた。
師匠は人工呼吸器を付けられて呼吸を行っていた。
集中治療室に運ばれて、検査を受ける。彼は脳に異状は認められなかった。しかし、一つ問題が見つかった。彼は癌を発病していた。末期ガンであり、あと1ヶ月持つか持たないかのことである。
来翔は東崎の妻、友梨に電話をした。彼女は泣いていた。離婚しようとしていた矢先に、夫が死ぬかも知れない。通常なら辛い結婚生活とも別れることが出来て、尚且世間からの同情を得られ喜ぶかも知れない。
しかし、彼女は違ったのだ。自分から別れを切り出して夫である雅孝に度重なる心労を掛けてしまい、彼をガンにさせてしまったのだと深く自責していた。それ程、彼女は素晴らしい奥方であった。師匠は最高の妻を持ったと来翔は思った。
そして懸命な処置が施されたが、彼の状況は一進一退、死にも生にも傾かない。そんな状況が起きていた。
「先生!師匠はどうなるんでしょうか。俺は師匠を助けたい。だから先生教えてください!」来翔は医者に言った。
「外山さん、落ち着いて下さい。私達も精一杯手は尽くしておりますが、依然として厳しい状況が続いております。その為、別な部屋に移したいと思います。宜しいですか?」その医者、山上が言った。
「はい!師匠が蘇生する可能性があるなら宜しくお願い致します。」来翔は師匠の復活を祈る。
そして奇妙な一室に来た。
「何ですか!ここは、師匠はまだ死んでいませんよ。」
20人の法師が座っている。そして経を唱え始めた。死んでも居ないのに気味が悪い。そう思った。そして、山上に聞いた。
「何でお経を唱えているんですか!師匠が天国に行くことを望まれてるんですか!」来翔は問い詰めた。
「古来、日本では加持祈祷が行われ貴族の人々を救ってきた。現代でも治らないものは治らない。だから仏にすがるのです。」山上は答えた。一理あると来翔は思ったがやはり受け入れ難い。結局はこのヘンテコ病院を受け入れるしかなかった。
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