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墨染を懐古する。

外山来翔目線を離れ、その相棒となった久世武峰を主役とした回です。ぜひご覧下さい。

秋になったのだな。紅葉が綺麗である。ひらりひらりと舞い散るもみじ。古都京都を彷彿とさせるその景色は、観音六波羅寺で見られるのであった。


二代目坂本龍馬を名乗るその男…久世武峰は、住職を辞める事を宣言しに寺に向かう事とした。寺との交流を絶ち、二年になるところであった。

「六波羅寺の見事な桜は変わることが無いな。」久世は境内を歩きながらふと呟いた。


箒で、掃除をしている若き住職がいた。かつて居た仏教大学の一つ後輩であった男だ。

「おはようございます。」その住職は挨拶した。

「おはようございます。実は、この寺の住職に謝りたい事があるのですが。」至極丁重に挨拶した。


「私が住職です。では、心安亭にてお話を伺いましょうかね。」

「忝ない。」

二人は心安亭に向かって話をすることにした。

「でお話とは何ですか。久世武峰さん。」

二の句が継げなかった。髪が伸びているとはいえ、声でバレていたのだった。

「柴田龍聖殿。この度は突然、消息を絶ちご迷惑をおかけ致しました。申し訳ありません。」


「まぁまぁ。大丈夫ですよ。大日如来のお導きで、貴方は訳あって坂本龍馬となったのでしょう。何も咎めることはありませぬ。」

「それが気掛かりで参った次第でございます。」


「元々、真言宗は現世利益を追求する宗派でございます。貴方は、坂本龍馬として厳しい状況に追い込まれている労働者を救っていらっしゃる。真言宗の者としてその道は全く外れたものではございません。」


柴田龍聖という若き法師は先代住職である武峰に優しく話し掛けた。

「有難うございまする。」

「まぁまぁ、そんな堅い話もこの辺にして、お茶でもいかがですか?」

「忝ない。龍聖殿。有り難く頂戴致します。」

「龍聖殿ってそんな、畏まらなくても良いですよ。」


「仏道に励む者に対して敬意を払わなければなりません。」

「もう。先輩は堅いお方ですな。そこが良いところですがね。」

柴田は大学時代に、茶道のサークルに所属していた。彼のてるお茶は美味いのである。


目の前で点て始めた。ほのかに香る抹茶の香りが堪らない。

茶筅で点てたお茶などは心得のある者しか作らない。

滅多に飲むことは無いのだ。だから、美味しさを味わうことが出来るのだろう。


暫くして、紅白のすあまが添えられた抹茶が目の前にあらわれた。

「私もまだまだですがね。ご賞味下さい。」

「有り難く頂きます。」

久しぶりに後輩の茶を口にする。

まして繊細な口溶けを感じた。こんなに美味しい抹茶は初めてだろう。

また、外の椛もお茶の良い肴になる。

枯葉も山の賑わいとはよく言ったものだ。


しみじみとした情趣を感じられると幸いです。

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