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師匠、奇跡の復活

外山来翔の師匠である東崎雅孝は、末期ガンが見つかり危篤状態に陥った。

しかし、古の力は恐ろしいものだ。真言宗の法師及び天台宗の法師が代わる代わる読経をし、彼の意識は不思議なことに快復した。

「来翔、申し訳無かった。先生、私は、あとどれくらい包丁を握れるでしょうか。」師匠は涙を浮かべながら、山上医師に尋ねた。

「それは、貴方が一番分かっているでしょう。」医師も涙ぐんでいた。彼は医師でありながら、よく洋風軒に通っていた師匠の顧客であった。

「あぁ。もう長くはないようだな。あと1ヶ月か。来翔、お前に店を継がせる。だが、最後の仕事がある。美食家である鯰公爵、日野憲之様が洋風軒のカツサンドを食べたいと言っていた。それを見届けるまでは、頼んだ。」


師匠は自宅で死を迎えようとした。患者の生き方には医者は口出しが出来ない。山上医師は、退院の許可を出した。


「来翔、俺は洋風軒という店を経営できて嬉しかった。此処には俺の全てが詰まっている。俺の人生の宝箱だ。だが、これからはお前の記憶が入るのだ。」師匠は退院後、家に向かう途中に通った洋風軒を見て言った。車は新人ドライバーの来翔自身が運転した。

「師匠。俺、頑張ります。」来翔はいつか店を継ぐ時が来るのだろうと分かっていたが、予想よりも早く来てしまい戸惑っていた。

「来翔、有難うな。残された時間、今一度妻と店とお前のことを思って生きていくとするよ。」


そして、来翔は店に戻ってすぐに店を再開した。

「いやぁ、来翔さん。大変ですね。東崎先生が倒れなさって。」客の一人が話しかける。

「師匠は今まで頑張ってきました。だから、その無理が祟ったんでしょうね。私はこれから店を継ぐこととなります。今後ともよろしくお願いします。」来翔は言った。


突然のことであった。ある人が来た。

「どうも、初めまして。私、鯰市公爵担当料理長の箱宮聖政はこみやきよまさと申します。本日は突然のご訪問誠に申し訳ありません。」

市公爵である日野には料理人がおり、その者によって健康が管理されている。その料理を司る者が箱宮である。


箱宮聖政は、料理評論家として活躍していたが、父に化学者、母が生物学者であるエリートの出自である。

その為、栄養素のメリットデメリットを把握し、本人は管理栄養士の免許取得をしていないがほぼ献立も自分で考えている。


彼の舌は肥えており、ちょっとの物には反応しない。

そんな男の舌を唸らせなくては無かった。絶対にここで日野鯰公爵への道を頓挫させる訳にはいかないと思った。


奇跡が起こることを信じて…





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