3 日常そのに
不定期更新うぇーいヽ(゜∀。)ノウェ
読んでくださって凄い嬉しいです!
ーー朝。
カーテンの隙間から差し込む穏やかな朝日にユーハルトは目を覚ました。
跳ね放題の金髪が朝日に照らされ、蜂蜜色に輝いている。
ほんわりとあったかいベッドの中でごろんと寝返りをうち、枕元の目覚まし時計に手を伸ばす。時計の短針が指すのは6という数字。
「……えーっと、6時? まだ眠れる?」
とろんとした目でぽやんと呟いたユーハルトは、突如として響き渡った爆発音に、蒼い海色の大きな目を見開いた。
ーードオオオオンッッ!!
「ええっ!?」
慌ててベッドから飛び起きて身支度をする。
その間にも爆発音は連続して響いてきている。
ユーハルトは大急ぎで神剣を引っつかんで、寝室のドアから飛び出した。
ーー実にこの間、2.5秒。
反応速度がすごいのは、勇者故のことなのか。
とりあえず爆発音が聞こえてきた辺りに目星をつけて、それが昨日耕していた畑の方だと気付いて首を傾げた。
「あれ?」
空気がビンビン震える程の爆発音に混じって、ドシン ドシン!!と何か大きな生物の足踏みのような音も聞こえてくる。
何か、嫌な予感がした。
「ええっ? なんでこんな音がするんだろ? ここら辺の大型の魔物は、一昨日ほとんどサクッと殺っちゃったはずなのに」
ちょっとおかしいなーと、形の良い眉を寄せるユーハルト。
おい発言が不穏過ぎるぜゆうちゃん。
君はもう少し勇者の自覚を持ちなよ〜。
「作者は黙ってて。あともうおれ勇者じゃないから、農家のユートさんだからね」
はいはい分かった分かった。早くさっちゃんのとこ、畑の方に行ってあげな。
「は〜い」
どこからともなく聞こえてきた声(←白々しい)に返事をすると、ユーハルトは爆音響く畑の方に駆けていくのだった。
ーーで、昨日耕したばっかりのエルーシャ農園の畑にやってきたユーハルトは、ちょっと困惑していた。
本当に珍しいことに、頭を抱えるくらいにどうしようかと思った。
だって。
「暗黒竜!! ソイツもう敵じゃねえから戦うなっつってんだろ!! 話を聞けええぇ!!」
『おのれ……勇者めっ! 魔王様を誑かしおって!! この場で聖龍ッ!貴様ごと食い殺してやるわッ!!』
『貴様程度が勇者様を愚弄するなこの未熟者。 私との力の差を魔王諸共破壊し、理解させてやる』
なんか見たことあるドラゴン達が戦ってるんだもん。
眼帯つけて、片目を真紅に光らせた厨二な魔王が、それ止めようとしてるんだもん。
せっかく耕した畑はブレスや足跡で台無しだ。
「とりあえずここにはじゃがいも植えようと思ってたのに……」
ユーハルトは悲しげにそう零した。
じゃがいもは秋作と春作があり、種芋をいくつかに切って植え付ける。
保存もきくし、美味しいし、何より料理のレパートリーも豊富だ。
そして他のいもに比べても収穫が早いという作物でもある。
今は丁度春だし、エルーシャ農園として初めて作る作物としてはいい線をいってるかなーと思ってたのだ。
言ってしまえばちょっとウキウキしてたのだ。
なのに。
「……あれ、ゆうちゃん? 良かったちょっと手伝って……って、おい?」
『勇者ァァァッ!! 今こそ成敗してくれる……ってうむ?』
『勇者様! ご無事で何より……って勇者様?』
三人は、この世で最も優しく恐ろしい笑顔を見た。
「……とりあえず、全員畑に土下座して?」
両手で構えた【神剣】セルリーフェル。
優しい優しい綺麗過ぎる笑みを浮かべるユーハルトの手にあるそれには、莫大な神力が光を放ち、渦を巻くほどに凝縮されていた。
ーーあ、ヤバイ。めっちゃキレてる。
三人は直感でそう思った。
しかしもう遅い。
「ちょっと反省しやがれこの野郎共ぉぉぉっ!!」
青筋を浮かべた笑顔のまま怒号をあげると、ユーハルトはそれ(実は最終奥義)をそのまま三人に叩きつける。
「「「ぐわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっ!?」」」
哀れ、畑を荒らした者達は、見事なまでの孤を描き、蒼空の彼方に消えていくのだった……。
新しい登場人物?でした
まだ声だけの出演ですねww
次回に描写を回しますm(_ _)m