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9話

もう、どれくらい昔だったか。私の元に一人の英雄とその子供が来ました。その英雄はもう一人の英雄と結ばれていました。

魔王は倒され数万年の平和が保障されたときです。その英雄の名はイルナ・トリュナ。かつて、『知識の魔女』と言われた魔導師です。彼女の腕には二人の子。そのうちの一人を私に預け言いました。

『また、魔王が復活したときにこの子は魔王を封印できる。神獣よ、君の力でこの子の成長を止めて数万年後に戦えるようにしてほしい』

と。私は始めこそ反対しましたがそうそう力のある魔導師はいません。その赤子は幼いながらにしてとても大きい力を感じました。私は赤子を魔方陣に乗せ数万年後に向けて眠らせました。赤子の名前はルイ・トリュナ。

もう一人の赤子は英雄であり、初代ウィリシア国王のシイク・アルスの血を強く引いており魔力こそ感じられない物の、国を治める器であることはわかりました。

シイクは魔力を一切持っていません。ウィリシア王国は始めは魔法の国ではなかったのです。

イルナはもう一人の子供を抱えて帰りました。すれ違いに残りの英雄も来ました。『妖しき騎士』ユウスト・リンガー、グパ族一の術師・夜叉。二人はこの魔島に次の英雄となるものに渡したい物があると私に手紙と武器を預けました。

それから幾百の時が経っただろうか。ルイが目覚めました。私達は始めて人間の子を育てました。何も分からなかったので大変でしたよ。ルイが少し大きくなった頃、彼女の魔力が暴走する事件が起きました。

私一人では抑えきれず、他の神獣の力も借りて魔力を抑えました。傍にあった適当な腕輪に魔力を抑える文字を書いて無理やりつけました。その腕輪はたまたま魔力を武器にする力がありました。

しかし、所詮はただの腕輪。巨大な魔力を抑え切れなかった。だから私は腕輪に自らの一部を入れ、その一部で押さえました。ただ、腕輪を持つ者、ルイと契約をしなければならず仕方なくしました。だからルイは唯一、神獣を呼び出せるのです。

さて、英雄イルナが生んだもう一人の子はウィリシア国王となり子を残してなくなりました。そのときの女王が魔力を持ちその魔力は続いてウィリシア王国はいつの間にか魔法の国となりました。

そうして何代も何代も変わり今のアディ国王に至りました。だが、二代目国王以来初の魔力を持たない王子が生まれました。それが、ディ貴方なんです。

魔力を持たないことには意味がありますが、今は説明できません。後々分かります。

ユウスト・リンガーは一人旅をしていました。旅先である女と出会い結ばれ子を残しました。ユウストは剣術もさながら回復魔法も中々の物でした。ユウストの子孫はまた子を作り今のナイトに至ります。外見もとてもユウストと貴方はそっくりです。

夜叉は自らの国に帰りグパ国の国王に。しかし、すぐに辞めました。そんな器ではないと。彼は次の英雄のために様々な物を残し亡くなりました。夜叉の家にはそれがまだ在る筈です。

夜叉に子が居るかは私は知りませんが、華僑貴方は恐らく夜叉の子孫。貴方の目がそれを語っています。


+++++


「……ねぇ、じゃあ僕は魔王を倒すためだけに育てられたの?本当は何万年前の人間なのにわざわざこの時代の人間育てられたの?僕を魔王を倒すためだけの兵器に育てていた!!だから君は僕に様々な魔法を教えた!僕の存在意義って何!?」

ルイは私を睨みつけていった。

「おい、ルイ……」


ディがルイを宥めようとするが彼女の周りには魔力があふれ出て近付けなかった。


「そうですね。そういうことになります。ですが、貴女は兵器ではない。貴女を育てていて魔王などのところに行かせずにここで一生を終えてほしいと願った。魔島を出たとしてもただの女の子として生きていてほしかった。神獣には性別は無いです。ルイ、貴女はそんな私に母の気持を教えてくれた。兵器じゃない。ルイは私達の子供」


血が繋がっていなくても、誰かの子だとわかっていても私はルイを自分の子供だと思っている。

ルイはその場に倒れこみ、気を失った。周りに出していた魔力のせいですね。

――つらい事を言ってしまった。ごめんなさい。私の子供。

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