6話
「ふわぁー。いろいろな人がいるねー。武器・防具屋さんもいっぱいだぁ」
ルイが周りをキョロキョロしながら俺達に言った。確かに言われて見なくてもそうだ。
俺達は今イニア国の城下町にいる。にしても……
「そうだな。だけどちいせぇ。城下町にしちゃあちいせぇ」
「まぁ、それがイニア国ですからね。しかし、美しい女性が少ない……」
俺の言葉にナイトが反応した。
ってか、美しい女性って……。どんだけ女好きだよ。この遊び人が。どっかいく度にこうだもんな。
女だらけの国とかに行ったらどうなるんだよ……。
「自分で女は少ないって言ったじゃん。何、ナンパでもしようとしていたの?」
確かに華僑の言う通り入る前にルイに女は少ないとか言っていたな。
ちなみに、今は宿に向かって歩いている。
「当たり前じゃないですか!嗚呼、こんな男だらけの所にルイ様を入れるなんて……!」
どんだけルイが大事なんだよ。いや、ま、気持はわからねぇこともねぇがよ。
ナイトはハァ、とため息をついた。流石色男。それなりに絵になる。
周りにいた人々の一部はゲイがいるのか、変な視線をくらう。
「はいはい。……じゃあ、変身!どうよ!?」
と、ルイが魔法を唱えた途端、ルイの姿が男に代わった。なっげぇ髪は短くなり、女とは思えない姿に。
「ほぉ。そんなことも出来るのか。それなりにカッケェじゃん」
「うん。流石、ルイだね」
俺と華僑は褒めたが、
「美しい女性が一人減ってしまった……。嗚呼、私は一体どうしたら……!」
ナイトは嫌だったようだ。
俺はいい加減にしてほしくて思いっきり殴った。
「じゃあ、一回死んどけ」
「結構痛そうだねー」
……その姿でその口調はどうかと思うがなんも言わなかった。
俺は気絶をしたナイトを担いで答えた。
……コイツ、本当に男か?軽い。
「当たり前ぇだ」
俺達はそのまま宿に着いた。さっさと部屋を取ってナイトをベッドの上に放り投げた。
ちなみに、3人部屋と1人部屋。まぁ、当たり前だがな。
それから今後、どうするかを決めた。次に向かうのは、ウィリシア大陸で二番目に大きいカミハ国。
あそこには、世界一でかい図書館があるからだ。調べ物をするにはちょうど良い。
本当はルイのテレポートで行こうとしたが、4人(+1匹)はかなり疲れるから嫌だと。
その後、自由に買い物やら何やらをしにバラバラで行動をした。
……フィナがさっきから鳴かねぇ。誰も気が付いていないとは思うが鳴いてねぇ。どうしたんだ?
「おい、ルイとフィナちょっと良いか?」
「何?」
ルイの姿はいつもの女に戻っていた。
「さっきからフィナが鳴いていないのは何なんだ?」
すると、フィナが下を向いて、
「ピィピッピピィピピピッピピピィ(嫌な予感がする。何か、凄く嫌な……)」
俺は何を言っているのか分からなねぇからルイを見た。ルイは通訳をしてくれた。
「嫌な予感がする。何か、凄く嫌な、だって。嫌な予感?どんなの?もしかして予知?」
「ピィ……ピピピッピピピィ(うん……壊れるような……)」
「壊れる?」
「なんだそりゃ。この国が壊れるだとか?ありえねぇよ。ここらの魔物は弱ぇ。それに予知だなんて……」
ここの魔物はかなり弱い。頑張れば子供でも倒せるほどだ。第一、イニア国の兵は強い。何故か強い。ウィリシア王国に匹敵できるほどだ。
それに、予知能力なんて信用できねぇ。殆どが当たらない。
「うん。でも、フィナは特別。当たるんだ。僕は何回か予知通りに物事が進んだことがあるし。今回も……」
「はっ、とにかく俺は信じねぇよ。予知や予言なんて物はな……」
俺はそういって街へと出かけた。
「ピ?(どうしたんだろう)」
「さぁ?とりあえず、戦闘道具は持ったまま行こうか」
俺はぶらぶらと街を見回った。結構な賑わいだな。
にしても、壊れる、か。ありえねぇよ。んなもの、夢とかを勝手に予知夢とかにしちまうんだろ。
途中でナイトと合流をした。俺は、フィナのことを話した。
「へぇ。予知ですか。まぁ、人間ですと当たる確立はほぼ無いですが魔獣ならね……。フィナの予知は当たる気がしますよ」
「テメェもかよ」
「えぇ。……ディ」
ナイトは真剣な顔で俺を見た。そのこめかみにはうっすらと冷や汗が。
俺の背筋に嫌な悪寒が走った。かなりでかい気配も感じる。
「あぁ、分かっている。コイツはやべぇ。強すぎる……!」
俺達は急いで気配のする方へ向かった。外だ。
走っている時、華僑やルイと合流した。二人も気が付いたらしい。フィナはルイの命令で空を飛んでいるらしい。
「これだよ。フィナの予知はこれだよ!」
「……ありえそうですね。これだけ強い気配は今まで感じたことが無い」
「予知?誰が?」
「フィナがだよ。壊れる予知だとさ」
会話をしている途中、魔物が目の前にいた。
その魔物は――