5話
「へぇ。傭兵やってたのか。強ぇやついたか?」
「うーん、あんまり居ないな。……今度俺と戦ってみる?」
「コテンパンにするぜ?」
華僑とディがなんだか面白そうな会話をしている。ディなんか、手をポキポキ鳴らしているし……。指太くなるよ?
ルウェルの町を出発してから5日。道中、様々な魔物にあったものの別にさっさとやっつけて進んでいった。
怪我をしてもナイトやフィナが回復してくれるし、攻撃だって好戦的なディと華僑が倒しちゃうから僕ってあんまり戦闘に参加をしていないんだよなー……。
「俺の台詞だよ」
「はいはい、物騒な会話をしないで下さい。もうすぐイニア国に着きますよ」
ナイトがパンッと手を鳴らして二人の会話を止めた。
ナイトの指差した方向には小さく見える城があった。あれがイニア国なんだってさ。
僕は基本的にあんまり世間に関して詳しくない。イニア国だってはじめて聞いた。
「イニア国?」
「ピピピピ?(何それ)」
「なんだ、知らねぇのかよルイ。イニア国は小さいながらも魔法と武道が両立されている国だ。って、フィナ今何つった?」
「何それ、だって」
フィナは魔獣で唯一人語が話せない。僕にしか理解できない言葉を話すんだー。だからフィナの通訳は僕しかいないのよー。
魔法と武道が両立かぁ。どんな国だろう。
「ディにしては良く知っていますね。ちなみに、イニア国には女性が少ないですよ」
「えぇー。唯でさえこのパーティ女一人なのにー」
「ピピィ?(あたしは?)」
「フィナも女の子だけどさー……」
だって、魔獣じゃん!鳥じゃん!
差別する気はないけど、人間と魔獣だよ?まぁ、フィナとは親友だけどね。
「ははっ。別にいいじゃん。ん?ねぇあれ、盗賊?」
華僑が爽やかに笑った後、イニア国の周りを囲んでいる人々を見つけた。
僕はスッと盗賊たちの下へと向かった。
「華僑は目ぇ良いな。……あってんじゃねぇの?どうする…って、おい、ルイ!……まぁ、いいか」
「君たち此処で何しているの?場合によっては僕がお仕置きだぞ!」
僕は足を開いて左手を腰に当てて右手で盗賊のリーダーらしき人を指差した。
(((お仕置きって……)))
「あぁ?ねぇちゃん俺様を知らねぇのか?」
「うん」
知らないよ、そりゃ。
だって、初めて出会ったんだもん。
「……いや、はっきり言われても。俺様はなここらで一番の大盗賊様さ!この俺に逆らおうって言うのかい?」
「うん」
「……(こんな女になめられるなんて……)」
盗賊のリーダーさんは涙目になっちゃった。僕、なんかしたかな?
と、リーダーさんは仲間の盗賊に合図を送った。と、皆僕に襲い掛かったが皆、飛ばされた。
僕の横にはフィナが居る。フィナがとっても大きい翼で盗賊たちを飛ばした。
「ありがとう!と、言うことで皆飛んで行けー!」
僕の声と共にフィナがなんかの呪文を唱えた。すると、トルネードが出てきて皆を飛ばしていった。
うーん、あの魔法だったら僕も使えるなぁ。って、折角僕が戦おうとしてたのに今度はフィナに取られた!
「僕って、使えないのかよー……」
「何、しょげているんですか?」
「ナイト……。皆が魔物倒しちゃったりするから僕の出番が無いー……」
「あー、それには理由があるんだぜ?まぁ、テメェには教えねぇけどな」
「ディ、なんでさー?僕は魔法使いだよ!」
「んー、とりあえずルイはしばらく俺達に出番を頂戴ね?」
「いやだーーー!!!!」