38話
「ただいま、皆。やっぱ、グパ国は良いね」
「王がウィリシア国からお帰りになったぞ!」
新しき英雄達が死の世界に行ってから5年。再び世界は平和になった。
ニナ大陸ではグパ国とシア国が和解し共に暮らすことになった。新しき王の名は、『華僑』。
「まったく、早く立ち上がりなさい。これ位でくたばらないで下さいよ」
「くくっ、テメェが早すぎて付いて行けねぇんだよ。なぁ?」
「うん。……僕も参戦しようかなー」
「ウィリシア王妃になるお方がが暴れてはいけませんよ」
ウィリシア王国ではアディ王が王の座を降り、新しき王が君臨した。名は『ディ・アルス』。彼の親友は総合隊長育成教官として王、王妃の次に権力を持った。名は『ナイト・リンガー』。
ウィリシア国王はある魔導師と婚約した。婚約者の名は『ルイ・アルス』。
英雄の歴史の最後にはこう書かれている。
『彼等は神獣の力を借り、魔王がいる世界へと飛びだった。そして、戻ってくると約束した者達の強い願いによって奇跡が起こり魔王は封印され、英雄達は無事戻ってきた。そして、平和がまた訪れた』
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「明日、か。何か緊張するなぁ」
「ルイ様、夜更かしはお肌に悪いですよ」
真夜中、結婚式を明日に控えたルイは眠れなかった。空でも見ようかと屋上に上ってきた。
無事に死の世界から戻ってきたディは意を決して胸の内をルイに告げた。しかも、皆がいる前で。ルイは始め、混乱してわけの分からないことをしゃべった。それを見ていた神獣がルイを宥め何かを耳打ちするとルイの顔はぼっと赤くなった。
アディとウォルメを顔を合わせて二人とも笑い出した。ディはそんな弟を殴りたくなったが我慢してルイの傍に寄った。彼はルイの肩をつかんで目を見た。肩を掴まれたルイは身動きが出来ずに固まった。ディはそんなルイに痺れを切らせて抱きしめた。
すると、ルイは一言「君が、好き」と返事をした。
結婚まで5年かかったのは色々理由があり、二十歳過ぎていなかったのもある。ディが新しい国王になったこともある。ルイが魔導師兵育成教官になったり色々あった。
「あはは。大丈夫。ナイトは何しに来たの?」
「……今から言う言葉はただの独り言です。聞き流してください」
問いかけの答えになっていないなと思いながらもルイは黙った。
「私、始めて本気で惚れた女性がいたのですよ。別に今までの女性を遊んでいたわけじゃないんです。ただ、欲しくて欲しくて堪らなかったのは初めてだったのです。結局我が親友にとられてしまいましたが。ルイ様、私は貴女をお慕いしていました」
「……そっか。ありがとう。きっと、僕以外の大事な人に出会えるよ」
「そうですね。ありがとうございます。……お幸せに」
ナイトはそういって屋上からいなくなった。ルイは今のことをディに言ったらやきもち焼くのかなと思いながら苦笑いした。
ルイはそろそろ眠くなり、自分の部屋に戻った。帰る途中、アディに出会った。アディは義姉になるルイを見てニッコリ笑った。すれ違うとき「兄さんに泣かされたらいつでも僕に言ってください。懲らしめておきます」といった。ルイは笑って部屋に入った。
いつものように寝坊して、ディに起こされ怒られ急いで支度をした。支度を手伝ってくれたのは魔法隊隊長アミ・トゥエスト。二人はかなり仲良しだ。メイドの力も借りてドレスを着、メイクもした。終わった頃、正装をしたディが入ってきた。
「……馬子にも衣装だな」
「ディだってそんな格好似合いませんよーだ」
「はいはい。じゃ、行くか。可愛い新婦さん?」
「ディのバーカ!」
たまに砂を吐きそうな甘い言葉を言うようになったディにルイはたじたじ。ラブラブな二人を見たアミはルイに暑いから早く行けと言いながら送り出した。
会場には新しくグパ国王になった華僑、司会をするナイトが待っている。ルイの結婚を聞いて飛んできた神獣もいる。合図を受けたナイトは式を始めた。
式は酔っ払ったディと華僑が暴れるというハプニングがあったものの無事に終わった。
次の日、いつも通りに寝坊したルイは王座がある部屋に向かった。ディと目が合い挨拶をするとちょうどやってきた華僑とナイトがニヤニヤしながら二人のところに来た。
「昨晩はお楽しみでございました?」
「「!!」」
二人はびっくりして顔を赤くした。その反応を見て楽しむ二人。
「ふぅん。子供は何人生む気なの?」
「て、テメェにゃ関係ねぇだろ」
「気が付いたら二桁になったとかならないで下さいね。二人ともラブラブすぎますよ」
「もうっ!」
遠くからアディとウォルメが見ていた。こっそりと手をつないでいるのはまた別のお話。
完結しました!
ここまで読んでくださり、ありがとうございます!
なにか、アドバイス、誤字脱字等ありましたらどんどん言って下さいな。