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36話

「うわっ!立てねぇよ!なんだこの地震!?」


ディの言うとおり僕達は全員地面にしりもちを付いてる。地震が起きた瞬間全員立ち上がったは良いけどすぐに立てなくなるほどの大きな揺れが来た。今も続いている。

僕は頭を抱えた。下を向いているから何も見えない。と、ナイトが危ないと叫んだ。それで顔を上げた僕の視界には揺れで飛んできた花瓶――。来るべき痛みに備え目を瞑った。


パリン!


ガラスが割れる音が聞こえた。だけど、僕に痛みは無い。恐る恐る目を開けるとディが目の前に居た。


「馬鹿野郎!!こんなときに自ら視界を閉じるな!!!!っ~~」


ディはギュッと目を瞑って痛みに耐えた。歯も食いしばっている。


「ディ!?え、ちょ、手当て!」

「揺れが収まってからだ。……にしても長すぎる。それに、嫌な予感がする……。おい、フィナ起きろ!テメェが外を見て来い!」

「ピィ……(分かったよ……)」


僕がパニクっている間にディは次々と指示を出していく。フィナは外に出てからもとの大きさに戻った。そして上空へと飛んでいった。

華僑が術で自らを少し浮かせてから宿の外に飛び出した。ナイトはディの怪我の治療のためかここに残っている。と、ディが僕の頭を叩いた。


「いった!!何すん…の…?」


ディの顔はいつもよりも険しい顔で怖かった。僕の言葉はどんどん小さくなる。


「落ち着けよ……いいか、ルイ。フィナと華僑が外を見に行っている。テメェはまず国全体に結界を貼れ。魔力が余っていたら地震の原因を探りにいけ」


そういってディは僕の元から離れた。きっと、僕は凄く頼りない顔をしているのだろう。ディに笑われた。だけど、まだ揺れている。ディはふらつきながらナイトの元に向かった。

背中からは血が出ている。腕も、足も……。ふらついているのは揺れている所為か怪我の所為か……。

僕は壁に手を突きながら立ち上がり魔法で空を飛んだ。国の中心まで飛び、滅多に出さない腕を出した。フィナとの契約の証。これを使えばフィナの魔力も使える。


――本来なら一回フィナに言わないけどそうも言ってられない。ぱっと見魔物はいなさそうだけど……。

僕は右手の模様を左手でなぞった。黒い模様は青白く光り、僕の体内に魔力が注ぎ込まれる。僕の体が魔力でパンクしないうちに魔方陣を描き始める。全魔力を使ってやる。


最後の魔法文字を書き終わり、僕は魔方陣を広げた。国全体に届くように。それから中心を足で踏んだ。僕の体から魔力が吸い取られる。それと同時に町の揺れが収まった。

魔力をいきなり取られたフィナがやってきた。フィナは僕の腕を掴んだ。もう、僕は魔力があんまり無いから凄く助かる。


「ピ!ピィピッピピィピピピ(もう、無理しないでよ)」

「ゴメンね……。フィナは何か見つけた?」

「ピィ。ピィピピピッィピピ。ピピピピィピ(うん。時空の裂け目を見つけた。今から向かうよ)」


フィナはちょうど城の裏側に向かった。僕は裂け目を探す。と、人影を見つけた。華僑だ。

フィナはそこに着地した。華僑は城の壁を指差した。直径2mぐらいの魔方陣。真ん中が綺麗に裂けておくに続いている。続いているといっても城の中じゃない。異世界……。

僕は少し手を入れてみた。指先が入った瞬間僕は手を引っ込めた。全身にぞわぞわと悪寒が走る。


「これ、死の世界に続く道だ……蓋、しとかないと」


僕は裂け目の上に魔方陣を書き始めた。それを見ていた華僑が僕に問いかける。


「道?あれ、それってルイが作るんじゃなかったの?っていうか、もう出来ているなら人要らないんじゃ?」

「ううん。要るよ。僕が作るのはあっちに器を送るための道。この道は精神だけしかいけない。……正確には魂の道だよ」


僕は説明しながら裂け目に蓋をした。別に塞いだわけじゃない。ここから誰かの魂が入ったら困るから入れないようにするだけ。


……しまった。本当に全部の魔力使っちゃった。回復するかなぁ。フィナが小さいサイズに戻って僕の帽子の中に入った。


「魂の道?器?」

「死の世界ってのはね、死後の世界の一部なんだよ。魔王がいるのはその中でも最下層の最悪の世界なんだけどね。いくには普通は死なないと。それを無理やり器……この体ごと持っていくんだ」

「魂だけじゃ駄目なの?」

「うん。魂ってのは脆くてね。魔王の負のオーラに耐えられない。器があってもきついんだ。さ、ディ達のところに戻ろうか」


華僑はまだ何かを聞きたそうだが僕はすたすたと歩き出したから黙って着いてきた。

少し歩くとディとナイトが来た。ディはナイトにおぶわれていた。なんでも、アキレス腱をガラスで切ってしまったらしい。回復は魔法を使って2,3日かかる。

僕は歩きながら地震の原因と華僑に話した事を言った。城下町の入り口に着くとウォルメが居た。ウォルメは僕を見つけて笑顔で来た。


「師匠!……もしかしてこの結界師匠が?」

「うん。魔力を使い果たしちゃったけどね。で、ウォルメは何で入らないの?」

「いえ、それが門番が原因不明の結界に警戒して入れさせてくれないんですよ。解除してくださいよ」


僕はそれを聞いて急いで門番に話を付けにいった。すぐに話を受け入れてもらい結界を解除してから中に入った。


残りの四日間、魔力が回復すればいいけど……。

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