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31話

「……ルールは?いつも通り?」

「えぇ。では、行きます!」


ルイが上着を脱いで俺に投げ渡した。俺はそれをキャッチして少し畳んで持った。

うーん、仮面の女の髪型とルイの髪型が似ている。ポニーテールって結構居るな。にしても『いつも通り』ってことはルイは数回この仮面の女と戦っているみたいだ。

仮面の女の合図で戦いが始まった。もう当たりは真っ暗。城の松明が明りとなっているけどそれでも見えにくい。しかも、夜は魔物が必然的に多くなる。勿論俺たちは回りに気を使う。

仮面の女は短剣を持ってルイに突っ込んできた。勿論ルイはそれを避ける。そのまま女に足払いをかけたがジャンプされて避けられた。その勢いで女はルイに蹴りかかってきた。とっさのバリアーで避け、少し後ろに下がった。と、いきなり女の手が光った。その光は赤く燃え上がりルイへと向かった。


――いつの間に詠唱を唱えた!?いや、先ほどのテレポートの詠唱は欺くためか?元々詠唱を唱えなくても良い魔導師か……?


ルイは火の玉を水で消してその水を女にぶつけた。まともに水を浴びた。ダメージは与えていないけどもう炎系の魔法は使えないな。

女はその後も短剣で攻撃をしながら時々詠唱無しの魔法を唱えていった。普通の人だったら避けられないような連続攻撃もルイは軽々とかわし続けている。……そう、かわし続けている。攻撃はさっきの水以外にしていない。


隣でディとナイトが話し始めた。俺と考えていることは同じらしく、なぜ攻撃しないかについて話している。ナイトが『恐らくですが、あの二人は師弟では?』と言い始めた。ディはすぐに否定したが俺は考え込んだ。

師弟じゃないとしたらルイがかわし続けるのはおかしい。ルイは自ら突っ込んでいくタイプだ。体力を無くさせるなんてまどろっこしい事はしない。


俺が考えている間にも戦いは続いている。と、ルイがなにやらブツブツ言いはじめた。詠唱だ。唱えているって事は大きめの魔法を唱えるのかな。

仮面の女はそれに気が付いたのか先ほどよりも攻撃を多くしている。しかし、上手くかわされて、体力も徐々に減ってきている。スピードが落ちてきた。

ルイの周りに不思議な文字が現れてきた。それはルイの回りに円をかいて回っている。足元も光り始めた。流石にやばいと感じた女は下がった。そして、ブツブツ詠唱を始めた……。


二人とも大きい魔法を使う!そう思ったときにはもう遅かった。ルイの魔法は発動された。眩くなって目を瞑った。開けると先ほどのルイの周りを囲んでいた文字が仮面の女の口に張り付いていた。魔法封じだ。はじめて見た。中々難しい魔法らしい。

仮面の女は両手を上げて短剣を地面に落とした。参ったの合図だ。ルイは指をパチンと鳴らした。女の口にあった文字が消えた。


「また、私の負けですか……。お師匠様は強いです」


暗くて表情は見えないが女は先ほどの声よりも少しトーンを上げて話しかけた。

お師匠様、か。やっぱり師弟だったんだ。にしても、いつから……?


「ふふふっ、ウォルメも強くなったよ。次は僕も攻撃しないと。さて、仮面を外してくれないかな。僕の仲間が不信がっている」

「あぁ。分かりました」


ウォルメと呼ばれた仮面の女は仮面を取った。目は大きめで黒目。ニナ大陸の人だ。彼女は仮面をとったあと、俺達の方へ歩いてきた。

目の前でぴたりと止まって深くお辞儀をされた。


「お騒がせしてスミマセン。私、ルイ師匠の一番弟子、ウォルメ・ミィクと申します」

「ウォルメさん、お顔を上げてください。見たところ、詠唱を唱えてないようでしたが、ルイ様に教わったのですか?」

「いいえ。私ごときの技術では詠唱無しなど無理でした。なので、相手に突っ込んでいる間に小さな声で詠唱を唱えるようにしたのです。勿論相手に気がつかれない声で」


ルイが俺のところに来た。俺は上着を渡した。ルイは上着を着てからこれからウォルメをナンパしようとしているナイトに一発パンチをお見舞いした。

城の中に入って宿に向かう途中、ルイに色々聞いてみた。何でもルイが魔島に出るほんの少し前にウォルメが魔島に入れた。その時にルイに弟子にさせてくださいと言われたらしい。年はルイの一個下だって。けれども、精神年齢はルイのほうが低いかな。

それにしても、さっきからディが黙っている。まぁ、魔法に関しての話題はついていけないからね。俺はちょっと勉強したけど。それでも、あの2人の会話には付いていけないときがある。


「ウォルメはこれからどうするの?旅?」

「いいえ。ここで兵士として働こうかと思っています。本当はニナ王国かウィリシア王国に勤めたかったのですがさすがに……」

「いや、テメェなら入れる。っていうか、入れ。アディに伝えておくから」

「!!貴方、ウィリシア王に対して呼び捨てとは……!死刑に値しますよ!」

「あ、いや、ディはアディ王のお兄さんだよ。だから別にいいんだよ」

「そ、それは失礼いたしました!ディ様!」

「あー、いや、普通でかまわねぇよ。一応今はウィリシア王族じゃねぇし……」

「でも、戻るんですよね。ウォルメさん、彼が王族になるときは私は貴方の上司ですかね」

「えぇ!?お師匠様は凄い人と旅してますね……」

「えへへ。華僑もねナイトやディ、僕に負けないぐらい強いんだ!」

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