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3話

「やっと見つけたよ、兄さん。また城に戻ってきてほしいんだ」


一難去ってまた一難、ですかね。デカイ魔物の次はウィリシア国王ですか。

……国王の連れは3人、全員魔法使いでしょう。まぁ、何とかなる戦力ですかね。私でも。

ディを見た。さすがに驚きを隠せない様子だ。が、すぐに落ち着き、睨みつけていた。


「ん?貴女はルイ・トリュナさんではないですか。お久しぶりですね」

「……ねぇ、君は誰?」

「忘れてしまいましたか?僕はウィリ…」

「違ぇ。テメェは魔物だろう?この俺が実の弟を見抜けないとでも思ったか?」


へ?魔物……?周りに居た町人もザワザワと話している。

呆気にとられているとき、いきなり国王……いえ、魔物が真っ二つに切られた。そのまま連れの3人が変な模様に囲まれて動けなくなっていた。

そこには、銀髪赤目の女……?


「……雑魚だな。火焔の術!」


声が男だ。銀髪は手を組み変な形にしたかと思うと変な模様から炎が出た。

恐らく彼はニナ大陸のグパ国民だろう。銀髪赤目はグパ族独特だし、あの剣や服装もグパ族のものだ。

……残念ですね。女だったら口説き落とそうと思ったのですが。


「あぁ!君、華僑でしょ!久しぶりじゃん!」

「ん?ルイか。久しぶりだな。元気にしていた?」

「うん!華僑も元気そうで何より!」


ルイ様がとととっと華僑と呼ばれた男に向かった。華僑は笑顔だ。ルイ様も笑顔だ。

……随分と仲が宜しい事で。

二人は会話しながら私達の所へ来た。


「紹介するね!茶髪がディ、金髪がナイトだよ!んで、この子は華僑!」

「ふーん。よろしくな。あれ、ディって、ディ・アルス?」

「あぁ。でも、王子とかつけなくて良いし、気にしなくても良い。テメェはあれか?グパ族だか?」

「そうだよ。魔法は使えないけど術は使えるんだ」


ディと、華僑は普通に会話をしている。私は終始無言だった。

途中でコイツは無口?と聞かれたが無視をした。

……私は何をしているのでしょうか。別にこの男に何の恨みも無いのにかなり嫌いだ。あぁ、そうか。嫉妬ですか。私は本気でルイ様のことが好きなんですね……。


「そういえば、ルイ、まだ旅してんの?」

「うん。フィナ!華僑に挨拶をして!」

「ピピィ!(こんにちは!)」


フィナはぺこりとお辞儀の真似をした。もう、お昼時だ。

私は何も言わずに自分の家へと帰った。あの場にいるのが少し、辛くなった。昼ご飯を作り、食べようとしたとき、無断でディが入ってきた。


「ノックぐらいしてくださいよ」

「いいじゃねぇか。俺のお前の仲なんだし。で?テメェ、華僑にやきもちでも焼いたのか?俺にルイを好きになったのですか?とかいって、自分もルイが好きなんじゃねぇのかよ。可愛いねぇ」

「うるさいですね。で、あの男はどうしたのです?」

「ルイと一緒に宿に行ったぜ。ルイとな。あ、俺にも昼飯頂戴」

「そこを強調しないでくださいよ。昼ご飯ですか?良いですよ」


男二人でご飯を食べた。


「嗚呼、此処に美しい美女が居たなら……!この、むさい空気は無かったのに……」

「はいはい、俺が男ですみませんでしたねー。……最近思うんだが、妙に魔物増えてねぇか?あと、凶暴かもした。今まで町に入ることは無かった筈だ」

「そうですね……。言い伝えを信じるのならばもうすぐ月が重なりますからね。それが原因ではないのでしょうか?」

「つまり、魔王が復活しそうと?はっ!ありえねぇよ。そんなんただの作り話だよ」


食べ終わり、二人分の食器を洗っていると、また町に魔物が入ったらしい。しかも、気配からかなりの数だ。

今日は随分と招いていない客が多いですね。

私は食器洗いをやめ、外に出ようとしたその時、また誰かが無断で入ってきた。魔物だ。

それにいち早く気がついたディが蹴り飛ばして魔物を土へと返した。

外に出て次々向かってくる魔物を倒しながら一番強い気配を感じる所へと向かった。町の入り口だ。

そこにはルイ様と華僑が応戦していた。が、おされ気味でとうとう、魔物の攻撃が二人に当たった。


「うがぁーーーーー!!もう、ムカついたもんね!フィナ!華僑の回復お願い。我、ルイ・トリュナの名の元に召喚する!清竜!!」


召喚魔法……。元々ルイ様にはフィナという魔獣が居るのに一度に二匹も出せるとは……!魔法だけではなく召喚師としても優秀ですね。しかも、詠唱が無いとは……。

魔物の足元に魔法陣が出てきてそこからこれまた美しい竜が出てきた。その竜は魔物の周りをグルグル回り、浄化していった。そして、消えた。

そして、また町に平和が戻った。が、ルイ様は足元になんかの魔法陣を書き始めた。怪我をされているのに……。


「ハァ……。この町全体にバリアーをはるよ……?」


魔法陣を書き終え、手のひら全体で魔法陣の中心を叩いた。すると、魔方陣は光り、町の周りに巨大な透明な壁がはられた。

すごいですね。普通は数人ではるのを、たった一人でやるとは。それよりも、早く回復させないと!


「ルイ、お前俺よりも酷い怪我だよ!フィナ、魔力は余っている?」

「ピィ……(ううん)」


フィナは首を横にふった。私はルイ様の傍に駆け寄り、詠唱を唱えた。


「……、…!、リュア!」

「ふぇ…。ありがとう!ナイト。って、魔法使えたんだぁ」

「回復魔法だけですよ。攻撃や援助魔法は基本さえ使えませんよ」

「……教えてあげようか?」

「お気持だけで……」


こうして慌しい一日が終わっていった……

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