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29話

「皆さん、お気をつけて……。無事またウィリシア王国に来ることを願っています」


我が弟、アディの言葉を受けて俺達はウィリシア王国を出発した。出発直前にナイトと俺の二人でナイトの兄弟たちの墓に行った。

あの時はまだ小さいガキだったから墓と言っても大きな石を置いただけだった。それでも今も残っている。ナイトは途中で買った花束を石の上に置いた。その時にぼそりと『天国で幸せに生活してますよね』と目を瞑りながら言った。ふと俺はナイトが出会った時の小さな姿に見えた。その傍には虐殺された後しか知らないナイトの兄弟が綺麗な姿で笑っていた……。

ナイトは俺を見て目の前で手を鳴らした。俺は珍しくびくっとした。それを見たあいつが笑ったから俺は殴ろうとしたが逃げられ追いかけっこになった。後ろから『お兄ちゃん達がんばって』と言われたような気がした。


俺達は次の行き先をウィリシア大陸にある世界一の武器の町メアス国に向かうことで意見が一致した。近くにあるエルメキア国まではルイのテレポートでいけるからそれに頼ることにした。

ルイが手を上にかざして魔法名を言うと目の前の視界が消えた。一瞬だけピンク色の世界に放り込まれたと思ったら目の前に城門が見えた。兵士はこういうことに慣れているのか別にどういった反応もしなかった。

確か、エルメキア国は城の大きさはウィリシア城、ニナ城をも越える世界一。ただ、城の中に町があるから当たり前と言ったら当たり前だ。そのおかげで街の人々は安全に暮らせるがな。


ナイトが門番に何かを話しかけ門を開けてもらった。俺たちが入ると門はしまった。門を入るとすぐ噴水がある大き目の広場に出た。ガキが遊んでいたりカップルがデートしたりしている。

エルメキア国は毎日闘技場で兵共が戦っている闘技場がある。俺達はバラバラに行動した。俺とルイ闘技場へ。ナイトは買い物(と言う名のナンパ)、華僑は適当に食べ物食べに行くらしい。


俺達は足早に闘技場へ向かった。歓声が聞こえてくる。ルイがいきなり参加をしたいと言い始めたので俺も乗った。早速受け付けに飛び入り参加をしたいことを伝えると参加するための首輪を渡された。

ルールは、相手を殺したら反則&牢屋行き。首輪は付けている人がある一定のダメージを受けると外れてしまう。外れたら負け。その他何でもあり。ただし、首輪のテレポートは無効。

それだけの説明を受けて選手控え室に入った。中は明らかに強そうな男が多かった。ちらほらと女(恐らく魔術師)が居たり、細い男(これも多分魔術師)も居る。全員俺達の方を向いた。全員自分が勝てると判断したのかすぐに興味をなくした。

少し待つとアナウンスでルイが呼ばれた。相手は身長2m近くはあろう筋肉質の男。武器は持ってなく素手で戦うタイプだろう。男はルイを見て下品な笑いをした。


「お嬢ちゃん?怪我しないうちに降参したらどうだい?げっへっへっへ」

「……よし、君を1分以内に倒してあげるよ。僕が女だからってねなめないでほしいな」

「じゃあ俺はお嬢ちゃんを30秒以内に倒すぜ」


二人が部屋から出て行くと、中に居た全員がどちらが勝つか賭けを始めた。ほとんど男に賭けていた中俺はただ一人ルイに賭けた。


「兄ちゃん、どこからどう見たって男が勝つでしょ」

「アイツが普通の女だったらな。信じるか信じねぇかは自由だがアイツ『始まりの魔導師』と呼ばれている」

「『始まりの魔導師』!?ありえないわ。あんな小娘が……!」

「まぁ、見れば分かると思うよ、僕は」


個々に色々言っていた。

それらを聞いていたらルイの試合が始まる時刻になった。俺はモニターの近くに移動した。他の奴等も気になるのかモニターの近くに移動した。

ルイはあの長ったらしい上着を着たままで戦うらしい。武器も出していないから魔法だけで戦うつもりか。まぁ、一分もかからないだろう。


審判の合図で試合が始まった。開始宣言と同時に男は中々の速さでルイに突っ込んだ。馬鹿だな。それじゃ魔法の餌食だ。

思ったとおりルイは目の前に見えない壁でも貼ったのか男はルイの目の前で何かに激突をして後ろにひっくり返った。そのままルイは高めにジャンプをしてブーツのかかとで男の腹を踏んだ。しかも、鳩尾。これはかなり効いたのか首輪が外れた。時間は12秒。圧勝だ。

審判が試合終了を告げ、負けた男を救護班が運んでいった。観客席からもこの部屋からも感嘆の声が上がった。また部屋の中が騒がしくなった。話している内容を聞くと、『詠唱が無い』『あの速さは見たことも無い』『あの男が言っていたのは本当だったのか……』とそんな感じだった。

それからまたアナウンスが入った。今度は俺だ。相手は男の魔術師。俺は一つ鼻で笑って通りすがったルイの頭に手をぽんと置いてから部屋を出た。


試合場に入ると観客席にナイトと華僑がいたのに気がついた。いつ来たのかと思っていたら審判が始めの合図を出そうとしていた。俺が戦闘態勢に入ると相手も入った。それを見た審判は始めの合図を告げた。

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