表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/38

27話

「うぅん……。あれ、ディにナイト?」

「お?やっと起きたか。テメェはどれだけ寝れば気が済むんだ」


私が目覚めて2日後、ルイ様はやっと目が覚めた。

その間、ディは不思議な武器を手に入れた。魔力無しでアクセサリーから武器に変えるなんて聞いたことも無い。魔力の変わりにディの『気』が必要らしい。

始めて武器を出そうとするときにディは指輪がある右手をぐっと握った。すると、両手に戦闘用の爪が装備された。これには全員が驚き、彼自身もありえないという顔だった。

その後はウィリシア兵が大変だった。試しに使いたいというディの願いを聞いたアディ王が隊長クラスの兵を集めて修練場で戦わせた。ディは爪がしっくり来るのか普段よりも強くなっている。ディにまったく敵わない兵士は人を集めて一斉にかかった。

しかし、すぐに飛ばされた。ディを中心に風が起きている。それを見た魔法隊隊長が『魔力じゃないですわ。ディ様の『気』によって作り出された風と思いますわ。興味深いですわね』と。

私はあの爪はディの『気』を具現化して擬似的な魔法を作り出す物と考えた。ただ、その『気』と、魔法がどう違うのかまでは分からなかった。


「あれ、ディって指輪つけてたっけ?」

「あぁ、これはな……」


ディはルイ様が寝ている間のことを話した。ちなみに華僑はウィリシア兵と共に修練場に居る。私はディの言葉を聞いていた。


「ふぇ、凄いじゃん!きっと、神獣が言った『魔力を持たないことには意味があります』ってこれの事じゃないの!?『気』を具現化するなんて聞いたことも無いし考えたことも無いもん」

「恐らくな。さて、テメェの体調が良いなら修練場に行くぞ。華僑がそこにいる」

「ん?大丈夫だよ」

「私はアディ王にルイ様の目覚めを報告しに行きます。その後私も向かいます」

「わかった」


そういって二人は部屋を出た。私も部屋を出て迷いも無く王座のあるほうへと向かった。

途中、何人かの知り合いと目が合った。知らない顔も多くあったが私が出る前からの兵も居る。勿論元スラム住民の私を嫌う人も残っている。

王の間につくとアディ王の目の前に跪く。すると、アディ王は困った顔で私に言った。


「そんなナイトさん、別に良いですよ。僕の方が年下ですし……」

「しかし王、貴方は今ウィリシア国王ですよ。それに、私めに敬語なぞ……。もう少し堂々とされても良いのでは?」

「……あぁ、もう。分かったよ。で、ナイトさんは何しに?」


王は腕で目を隠して口をへの字にして分かったといった。

そのあと、座り直してから聞いた。


「ルイ・トリュナが目覚めました。それを報告しに。いま、ディ様と一緒に華僑のいる修練場に行きました」


流石に王の前でルイ様を様付けしてディと呼び捨てはあれかと思い、敬称を変えた。

ディ様、か。まだここに居たときはそう呼んでいた。


「良かった。あぁそうだ。ナイトさんはここに残らない?今度は教官として働いてほしい。貴方の剣術を是非下級兵に……」

「あり難いお話ですがお断りさせていただきます。私にはやるべき事がありますので」


私は顔を上げてアディ王の顔を見ながら強く言った。

すると、王は少し目を伏せて軽く苦笑いをした。そのの表情はディとそっくりだった。

二人は双子だ。しかし、扱いはまったく違かった。ディは普通ならアディ王を怨むだろう。しかし、怨むどころか可愛がっている。あまり分からないが王と居るときは雰囲気がやわらかくなる。


「兄さんもそういっていた。……それが終わったらまた此処に戻ってきてほしい。兄さんに伝えておいて『次にウィリシア王国に戻る時までには魔力の無い人も受け入れる国にする』って」

「わかりました。では……」


私はそう言って立ち上がって一礼してから王の間を出た。向かう先は修練場。

途中で今の兵士総合隊長に会った。名はオルト・ガイム。私の直属の部下だった男だ。オルトは私に深々と礼してから横を通り過ぎた。礼の仕方がまったく変わっていなかった。

訓練棟にいき、修練場に向かった。近付くにつれて歓声が大きくなっていく。何かやっているのか?少し早歩きで行った。

修練場に着くと訓練していたらしい兵が円状の訓練場を囲むようにしていた。私は少しその人たちに退いてもらって中心を見た。

そこには上を脱いでいる二人の男。華僑とディだった。傍にいた兵に聞くと、戦いたくてうずうずしていた二人がいきなり中心で戦い始めたとの事。折角だから訓練していた兵は教官に言われて見取り稽古。

私は一つ溜息をついて二人の居る所へ歩いた。右腰にさしてある剣を抜いてから右足で力強く地面を蹴った。二人の間に無理やり入り、左の剣で華僑の刀を受け止め、右手でディの腕を掴んだ。二人の動きは止まった。すると、周りからおぉと言う声が上がった。


「貴方達は何しているんですか……。ルイ様は?」

「ルイならそこにある椅子に座っているよ」


華僑に言われてふと真正面を見ると椅子に座ってニコニコしながら此方を見ていた。

と、ディの腕に力が入ってきた。


「さっさと退けよ。それともなんだ、テメェも入るか?」

「いや……」

「いいね、それ。ナイトも参戦決定!」


二人が私から離れたが、今度は殺気を放ちながら向かって来た。本気でやるのか……。私は呆れながらも戦闘に加わった。

その後、暇になったルイ様までも入り込んできたのは言うまでも無い。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ