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26話

「ルイ殿は体が丈夫なようですな。2,3日寝れば回復しましょうぞ。ただ、ナイト殿の方は……」


俺たちはウィリシア王国の港に着き、急いでナイトとルイを爺に見せた。

もうこの時にはナイトの意識も無かった。無理やり寝かせて正解だった。

華僑がナイトを運んだ。華僑が『ナイトからあまり生気を感じられなかったよ』といったもんだから俺とアディは大騒ぎ。

その後、爺に言われて黙った。爺は二人を看て俺たちに先ほどの言葉を言った。


「魔力がほとんど無くなっておる。元々治るのが遅い体質じゃろう……。魔力に助けられてたようじゃな」

「爺様、このままで平気なのですか?」


アディが心配そうに聞いた。ただ、ルイは平気と聞いたときはうれしそうだった。

感情が表情に出やすいな……。


「ふぅむ、ルイ殿が目覚めれば治せるじゃろう。ただ、ルイ殿もしばらくは目覚めまい。王、地下の魔方陣を借りても良いでしょうか」

「地下の魔方陣ですか?僕も一緒なら良いですよ」


アディが了承すると爺は部屋を出た。恐らく回復隊の人間を連れてくるのだろう。

華僑が俺の方を向いてきた。


「ねぇディ、地下の魔方陣って?」

「俺は知らねぇ。おい、アディ」

「えっと、この城の地下にはとても大きな魔方陣があるんですよ。その魔方陣は使う人によって違う効果を出すんです。例えば爺様なら魔方陣の上に居る人を全回復とか。僕なんかは魔方陣の上に居る人をその日一日幸福にするそうです」

「……アディらしいな」


そんな会話をしていると爺が戻ってきた。後ろには二人の男。手にはタンカを持っている。

俺達は椅子から立って、ナイトを運ぶのを手伝った。……軽い。

二人の男はタンカの端と端を持って部屋を出た。俺たちも後に続く。階段を下りるときも二人は器用にナイトを運ぶ。

そして、長い長い階段を下りるとかなり広い地下室に出た。そこには大きな魔方陣がかかれてある。若干光を放っている。

二人はナイトを魔方陣の中心まで運ぶ。なんでも、魔方陣の中心が一番効力が良いとの事。

二人は魔方陣から退いたのを確認してから爺が詠唱を唱えた。俺たち5人は黙ってそれを見る。手には宝石がある杖。

詠唱が終わったのか杖を魔方陣のあるところに叩くと魔方陣の光は眩くなった。一瞬目を瞑って開けると中心のナイトが少しだけ動いた。


「ディ様、ナイト殿のところに……」

「あ、あぁ」


俺は爺に言われてナイトの傍に寄った。すこし苦しそうにしてから目を開けた。

俺と目が合うと普段は若干細い目が大きく見開かれた。それから首を動かして周りを見た。

……別に俺がいたって驚かなくたって良いじゃねぇかよ。

今度はゆっくりと上体を起こした。その時、華僑も傍に来た。ナイトは手を頭にやって2,3回ぐらい首を振ってから口を開いた。


「迷惑を、かけましたね。ここはウィリシア城ですね」

「うん。あと、別に迷惑とは思ってないよ。結果的にルイは無事だったし」


ナイトは立ち上がってアディたちのいる方に歩き出した。華僑はタンカを持って同じ方向に歩く。

しかし、俺は動かなかった。その場にしゃがみ込んで地面に書かれている線を手で触った。熱くも無いし冷たくも無い。

と、華僑が後ろを向いた。俺の行動をおかしく思ったのか首も傾げている。ナイトもアディも不思議に思っている。

俺は馬鹿らしい考えを思いついた。このまま強く願えば俺にも魔力がつくのか、と。そして強く願った。

魔力のことではなく、ルイを守る力がほしいと……。

と、一瞬強い光が魔方陣から放たれた。全員声を上げた。すぐに光は消えたが、魔方陣は最初よりも少し光が強くなっている。なんなんだ。


「あ!あれ!」


アディがいきなり空を指差しながら叫んだ。俺達はその方向に顔を向けた。

空中に武器が浮いている。戦闘用の爪だ。

それはゆっくりと俺の目の前まで落ちてきた。ちょうど俺の胸の辺りでまた止まった。俺は思わず爪を手に取った。すると、魔方陣の光は弱まった。それと同時に俺の右の人差し指に指輪がはめられ爪は無くなった。

俺は指輪を見ながら立ち上がった。爺が俺の傍によって指輪を見た。


「……ディ様からは魔力は感じられませんぞ。恐らく『気』によってこの指輪は先ほどの爪となるとは思うのじゃが……」

「ほぉ。まぁいい。後で試す。ルイの所に戻るか」


俺が階段に向かって歩き出すと皆もついてきた。


――俺の武器、か。

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