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22話

「ねぇ、ナイトー!あれ、見える?」


私はルイ様に呼ばれ船の甲板へ行き指差した先を見た。

ルイ様は何か見えるらしいが私にはただの海にしか見えない。ルイ様にだけ見えるのは何か特別な血でも通っているのか?


「へ?見えるって海しか見えませんが。ルイ様は何か見えるのですか」

「……うん。黒くてもやもやしてて、とても気持が悪いんだ。僕だけ見えるのは何でだろう」

「お二方!もうすぐ魔物が出るところに着きます!戦闘の準備を!」


ヘルにそういわれ、私達は船の先端に向かった。

黒くてもやもやしている気持が悪い物……?何か悪霊でもいるのか?……いや、もう考えるのは止そう。戦闘中に考え事をするなぞ死にに行くものだ。

ルイ様があまり口にしない詠唱を唱え始めた。なんでもルイ様ほどになると詠唱はいらないそうで。慣れていない魔法だったり大掛かりな魔法は詠唱も唱えないといけないらしいが。


「ナイト、行くよ……!Person who can choose!!」


私の足が光る。ルイ様が私にかけた魔法は空中でも選んで歩ける魔法、らしい。

魔法があまり効かない魔物ということでまともに攻撃できるのは剣を扱う私のみ。しかし、海上では満足に戦えないということでルイ様が作った。

なんでも、魔法は魔法文字の組み合わせで出来ているらしい。ただ、あまりにも種類が多いから常人では作れない。当に天才だけが使える能力だ。

船はゆっくり進む。ヘルは船室の中で船員と共にいる。船室全てに結界をかけているのだ。

甲板にいるのは私達二人のみ。気兼ねなく戦える。

と、波が大きく動いた。黒い大きい影も見えて魔物が現れる――。ルイ様は事前にかいてあった足元の魔方陣を大きくして影の上に移動させた。

頭の先が見えた!赤い。そのままザバァと魔物が全貌を明かした……。見た目はタコだ。しかし、大きさが半端じゃない。この船と同程度――いや、それよりも大きい!

ルイ様が手を動かすと魔方陣が小さくなってゆき、魔物を捕らえた。魔方陣は動きを止める役割を持っている。これで戦いやすくなるはず。


「あっ……!黒いもやもやがこの魔物についているよ。もしかしたら何かにとり付かれているのかも……。もしくは巨大な力で操られているか」

「なるほど。では、気絶させる程度で」


ルイ様の目はあの魔物を助けたいと語っている。私はその通りにしようと手加減するつもりでいた。

私は空気を踏んで踏んで高く高く上る。考えたとおりに空中を踏める。不思議だがこれは良い――。

私はそのまま動けない魔物の頭へ一直線に降りた。剣先を下にして頭に突き刺そうとしたが何とか動かした足によって邪魔をされた。

ルイ様が手に力を入れている。魔物も自らの魔力を使って魔方陣を壊そうとしている。器が大きいからか魔力も半端じゃない。

……ルイ様はもう魔法は使えない。壊されないようにするので精一杯か。仕方ない。早めに方をつけなければ!

私はぎりぎり目で追えるスピードで魔物の周りを動き回る。勿論魔物は私を捕まえようと足を動かしながら目で私を追う。しかし、私はわざと目が回るように動いたから魔物は目が回った。

ルイ様がその瞬間に雷を唱えた。……後もうちょっとで私巻き込まれるところでしたよ!

痺れたか……?いや、まったく効いていない。話に聞いてはいたがまさかここまでとは。ルイ様も二つの魔法を同時に使っているとはいえ、彼女の魔力はまだまだあるはずだ。しかし、こんなに魔法に耐性のある魔物なぞ聞いたことが無い。

私一人では分が悪いな。これは、手加減なんか出来ない。

なるべく一箇所に攻撃場所を定める物の8本足の6本が私に向かってくる。飛び道具でも持っていれば……!


「うわぁ!」


ルイ様の叫びが聞え、はっとなって見た。しまった。攻撃を受けたか。船室のほうへと吹っ飛んでいる。

私のその隙を見逃さずに魔物は2本の足で私の背中を叩いた。空中にいたから海へとまっさかさま。しかし、何とかルイ様の魔法は保たれ海におちることは無かった。


「ぐっ……。ルイ様!」


今の攻撃で魔物にかけていた魔法が切れたのか魔物の動きが良くなった。最悪だ。

私はルイ様の元へ向かい、急いで詠唱を唱えるルイ様は私達二人を守る結界を張る。その結界を壊そうと魔物は8本の脚全てを使って叩いてくる。


「リュレント!大丈夫ですか?」

「あ、ありがとう……。多分もうあの魔方陣は効かないから僕も弓で応戦するよ」


そういって右手の腕輪に魔力を篭めた。すると、大きな弓矢に。矢は背中に付いている。

ルイ様は魔法もさながら体術、弓や剣の腕も中々だ。さすが神獣に育てられた人間だ。

ルイ様は手を伸ばし私に合図を送って結界を解いた。それと同時に魔物の足が私達二人に向かってくる。とっさに避けた。

そのまま私はその太い足を一本切った。……楽に切れた。なるほど。足が弱点か。

それを見ていたルイ様も足が弱いことに気が付き弓を引き絞った。その矢は魔物の足へ。

すんなりと矢は深く入った。よし、このままいければ……!

倒せる糸口が見つかった……が、切れた足が再生されていく。これではきりがない……!

と、怒り狂った魔物が私よりも遅いルイ様に怒りの矛先を向けた。私はとっさにルイ様の元に向かった。

全ての足がルイ様に向かう。とっさに結界をかけたが破られた。私はルイ様に体当たりをしてルイ様に当たる筈だった攻撃を受けた。


「ナイト!ちょ、うわぁ!」


私は船の外に思い切り飛ばされる。ギリギリ意識はある。最後に見たのはルイ様の髪留めが切れるところだった――

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