21話
「おはよう……ふわぁ、眠いや」
今日は海上にいる魔物退治だ!と言っても、戦闘で使う魔方陣を考えたからあんまり寝ていない。
だって、新しく魔法を作るって凄い大変なんだよ!?でも、こうでもしないとナイトが戦えないからなぁ。
「おはよう御座います、ルイ様。大丈夫ですか?」
外に出る支度をして部屋の外に出るとドアの所にナイトがいた。どうやら僕を待っていたようだ。
……ナイトと二人だけで過して4日目。凄い苦労するのかなと思ったらそうでもなかった。たまに女性をナンパしたり僕に囁く変な言葉があれだけど、気を使ってくれる。
まぁ、ナイトだし当たり前か。
「うん。あれ、ヘルさんは?」
「もう外で待っておりますよ」
二人とも朝早いな。そう思いながら二人で宿を出た。勿論お金は払ったよ。
宿の外に新しいウィリシア兵の服を着たヘルがいた。そわそわしていて落ち着かない様子だ。
まぁ、元々僕達が魔物退治に行くこと自体嫌がっているからな。それに、お仲間さん亡くなったみたいだし。
「お二人ともおはよう御座います。くれぐれも無理はなさらぬよう……。私もできる限りサポートします」
「うん。お願いね!僕だけだとちょっと大変だから」
ナイトの行きましょうの声で港に向かった。船長さんに魔物を退治しにいくと伝えたが最初は断られた。
細い男とただの女。こんなのでで倒せるかよと笑われた。僕はムッとして魔法を唱えた。
手に黒い球体を作り大げさにそこらへんの壁をそれで壊した。結構破壊力がありその場にいた全員が黙った。
「僕ね、ただの女だと思わないでね。『始まりの魔導師』って知っている?あれ、僕のことなんだ。だからさっさと船出してよ」
「(ルイ様を敵に回してはいけませんね……)」
僕に勝手に付けられた二つ名。あんまり好きじゃないけどこれ出せば殆どのことは許されるし結構便利。
船長は敬礼をしてから出航の準備をした。20分ほどかかるらしく適当にその辺に座ってまつことにした。
もう一度僕の考えた作戦を確認する。へへん。僕だってこれくらいのことはできるのさ!
少しだけナイトへ使う魔法を使った。何しろ僕もこれ使うの初めてだから上手くいくか分からないし。まぁでも、これを見る限り大丈夫だとは思うんだけどなぁ。
魔物の形はでっかいタコだって。8本足が太いから船の上では逃げ場が殆ど無い。ただ、タコがあまりにもでか過ぎて船の中までは見れないらしいからそこを利用する。
話し終えたころちょうど出航の準備が出来たらしく僕達を呼びに来た。
あぁそうだ。ヘルは戦闘には参加はしないけど他の船員を守る仕事があるんだよ。
三人は船に乗ってウィリシア大陸へと進みだした。
……なんだろう、あれ。皆、見えていないのかな。
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「アディ王!報告します!ウィリシア海域、ニナ海域の境目に巨大魔物出現。ルイ殿、ナイト殿のもとへは生き残った兵一人が向かいました!生存者は2名……」
なにやら騒がしいと思い俺は城の入り口の方へと向かった。ちょうどアディもそこに向かっていたらしく俺を見つけるなりでかい声で兄さん!と呼んだ。まるで子犬だな。
階段の上から見るとかなりボロボロの兵がいた。アディは駆け足で彼の元へ向かった。爺も遅れて登場しその兵に回復魔法をかけている。
兵はアディの前に跪き報告した。アディはそれを聞き垂れ目が大きく見開いた。俺はゆっくりアディの元へ歩いた。
「そう……。良く生きて帰ってきてくれたね。遺体は?葬ってあげよう」
「それが、海の底へ……。ディ様…!」
アディはうつむいて祈っている。俺も2,3秒祈った。
「ノエルか。災難だったな。くくくっ、その分じゃ魔法が効かなかった様だな。魔法だけに頼って身体を鍛えてねぇからだぜ」
コイツは俺が小さい時からいた。魔力が無い俺を率先して悪口やら暴力やら振るっていたな。
まったく、何でこんなやつは今の今までくびにならなかったかな。
「兄さん……!何を言って……。いや、なんでもないよ。ノエル、怪我が治ったらもう一度僕の所に来て。もう行って良いよ。ご苦労だった」
「ハッ!」
アディに俺が暴力振るわれていた所を見られていたこともあったな。今思い出したのか。
……あの二人、魔物倒しにいくとか言い出してねぇよな。いや、言いだすか。しょうがねぇ――