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15話

「うぅ……」


俺が目覚めると視界には爺さん。

懐かしい顔だな。


「起きましたか。ディ様。アディ王がご心配されてましたぞ。もう昼ですぞ」

「爺か。しばらく見ねぇうちに老けたな。俺の心配よりも爺の心配したらどうだ」


爺は俺達が幼い頃世話をしてくれた。俺が魔法を使えなくても怒ったり軽蔑することも無く『それも個性じゃぞ』と言ってくれた。アディに魔法が使えないものを軽蔑するなと言ったのも爺だ。

もう70にはなっているだろうにまだまだ現役らしいな。

俺の悪態を軽く交わしながら俺の腕に刺さっていた点滴を外す。


「ほっほっほ。ディ様はお変わり無いようで。あぁ、華僑殿が目覚めたら来いと言っておりましたぞ。たしか、客用の寝室に」

「分かった。世話なったな回復隊隊長殿」


爺は俺がこの城を出る直前に回復隊隊長となった。まぁ、前隊長が急病で無くなり代わりが居ないからということだがな。

俺は病室を出てまっすぐ華僑がいるであろう部屋に向かった。途中そこら辺に居た兵士に聞いたがな。

部屋の前に着きノックをした。すると華僑が出てきた。


「あ、起きたんだ。大丈夫か」

「あぁ。なんのようだ」

「とりあえず中に入ろうよ。アディ王も居るし」


そういわれて中に入ると確かに居た。

適当に座って出されたコーヒーを飲んだ。華僑はまど側に立っている。

最初に口を開いたのはアディだった。


「さて、兄さん。何で僕をあの時撤退させたの?僕はまだまだ戦えたし剣だって扱える」

「……お前はな、王としての自覚が足りない。いいか、このウィリシア王国は世界一だ。その国王が戦闘に出て死んでみろ。俺達全員死刑だ。まったく……」

「でも僕は……!」

「アディ!!……テメェは甘い。そんなに戦闘に参加してぇのならば兵士にでもなってろ。本当は戦闘になんか出させたくねぇんだよ。王にだってなってほしくなかった。アディには好きなように生きてほしかったんだ。俺はオメェが心配なんだよ……!」


俺は大声でアディを叱った後小さな声でそういった。

別に俺が王になりたいわけじゃない。誰が即位しようと関係が無い。けれども、弟が王になるのは嫌だった。

この王国の主となることは大変だ。ウィリシア大陸の政治は殆どウィリシア王がやる。例え病気になっても休むことは許されないし命は常に狙われる。

アディは一国の主としては甘い。優しすぎる。そんなんじゃだまされて殺される。俺はそれが心配でならなかった。実際に、前に2、3回ほどそういうことがあった。


「兄さん……。分かった。僕の判断が悪かった。ゴメン」

「あぁ。んで、何故俺と華僑を呼び出したんだ?」


俺がそう話を帰ると華僑がこっちに来て話した。すでにアディには話されてたらしく俺に向かって話された。

俺が寝ている間にある一つの矛盾が出てきた。それは、こっちに来た時間がまったく違うこと。

俺はこのウィリシア大陸に来て今日で二日目。華僑は始めはニナ大陸にいたらしい。それは一ヶ月も前。

恐らく俺達が違うからルイとナイトも違うということで話はまとまってはいるが、それは俺達よりも早いのか遅いのかは分からない。場所も分からないし。


「なるほどな。ウィリシア王国が本気を出せば二人はすぐに見つかるとは思うが?俺は」

「うん。一応兄さんがこの城にいることはもう全世界に回った。別に公表したわけじゃないよ。勝手に知らされたんだ」


そこでアディはため息をついた。

いや、ここの情報が漏れるのはおまえがしっかりしていないからだろうというツッコミを抑えておいた。


「いや、そのほうが都合が良いよ。たぶんディがウィリシアに居ると分かったらルイはテレポートできるしナイトは……。まぁなんとかなるでしょ」

「随分ナイトさんは扱いが酷いね……」

「「信用しているんだよ。きっと」」

「(嘘つき……)」


それからまた話し込んだ。結局決まったのは少しここに滞在すること。

恐らくもう二人には俺がここにいることは知っていると思うから変に動いてすれ違いになるかもしれないということでな。

だけど俺は最初に反対した。そりゃそうだ。俺はここを嫌になって出て行ったのだから。でも、合流しなくちゃいけないからわがままは許されないと怒られた(華僑に)

俺は実際はここの王子だけどもう辞めたので華僑と同じ客人として扱われた。まぁ、アディに謝られたけど俺はそっちのほうが良いし。しばらくここでトレーニングでもするか。

そこまで話がまとまると折れた一つの疑問を華僑に投げかけた。


「なぁ、おまえはニナ大陸で一週間も何していたんだ?」

「あ!最近ニナ大陸で期間は短いけど戦争が起きたんだ!大丈夫でしたか?」

「……その戦争は俺が起したよ。まぁ、平気だったけどね」


アディは凄く驚いていた。それに対して俺は別になんとも思わなかった。

だって、今ここに無事である華僑が居るからな。


「あぁそう。後で話してくれよ。アディもそろそろ戻らねぇと」

「そうだった!じゃあ、何かあったらそこら辺にいる兵士にでも言ってね」


そういってアディは華僑の客室を出た。

戦争に巻き込まれたっつーか、戦争を起こしたか……。随分すげぇことしたな。

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