表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/33

26.ビアガーデンの中で


 秋の夕暮れの中、朋子とビアガーデンにいた。早い時間に仕事が終わったのでビアガーデンで飲んでいたのだ。時間が早いせいか、外のライトはまだまばらにしか点いてない。ビールのせいか風が心地よく感じる。

 時間からして周りの客は少なく、私達や、他の人たちがぽつんぽつんといるだけだ。

「恋バナとかしたいねー」

 私が言う。

 もう二十四だ。落ち着きたい。

「ああ、そうだねー」

 同意する朋子。パーマがかかっている肩までの髪を、細い指先で耳にかける。彼氏からもらったのだろうか、耳たぶのピアスがきらりと光った。

「男の人ってしないみたいね、そういう話。あと付き合ってても友達優先とか」

「うんうん」

 分かる分かる、と私が頷く。説得力があるのは朋子にイケメンの彼氏がいるからだろう。美人の彼女とはお似合いだ。

「女の子は恋人優先だもん」

「そうなっちゃうねー」

 自分はどうなの? といじわるく訊いてみたかったけれど、黙っていた。嫌な女にはなりたくない。

 周りに目をやれば少しずつカップルが増えてきたのが分かる。お互い見つめあって幸せそうだ。羨ましいと思う。ライトの数も増えてきた。

 と、朋子の携帯が鳴った。

「あ、ちょっとごめん」

 彼女はいったん携帯を見てから、急いで立ち上がり端の方へ向かう。微笑む朋子。

 彼氏からだな、と直感する。

 さて、この後どうしようか。

 一人で飲むのも寂しい気がする。朋子が彼の所に行けば一人になるから。そんなことを考えていたら、朋子が小走りで戻ってきた。

「ごめんね、待たせちゃって」

「彼氏でしょ? いいの?」

「あ、平気平気。どうせ夜からでも会えるし」

 なぜかその一言に安心して、私は苦笑した。そして、そういう友達を持っていることを誇りに思った。

 私を優先してくれたことに。彼女がどれだけ彼のことを好きか知っていたから。

 ありがとう、と心の中で呟いた。



    

   【終】



《初出》

 2010年10月29日発行「本当の友達は輝ける宝石」収録(初出)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ