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第8話【後編】 ハーレムの女たちはもちろん調教済みですが!?

注)今回は多少の百合要素が含まれます

私はハーレムに入る新人二名を連れて、研修のその2「実践」を行うために移動していた。


 廊下を歩いているとヴァレンが声をかけてきた。

「よう、ラブリア。何だ?カワイ子ちゃんなんか連れて」


「お疲れ様、ヴァレン。彼女たちは、ハーレムの新人さんよ」


 新人二人が頭を下げる。


「あぁー、じゃあ研修か。ま、頑張れよ!いや、()()()()!か?」


 何とも言えない表情のヴァレンにひらひらと手を振って、私はまた歩き出した。城の客室の一部を改装した、私専用の「秘密部屋」の存在は、四天王とごく一部の者しか知らない。


 鍵のかかった部屋の扉を開け、彼女たちを中に入れ、今度は内側から鍵をかける。そこには大きなベッドと、夜を楽しむための様々な道具……。


 驚きで立ち尽くすヴィヴィアンとミレーユに向かって私は微笑んだ。

「ハーレムに入る前の研修で、“実践”なんだから、わかるでしょう?」


「そ、そうですよね!ぶっつけ本番より、ずっと助かります!」

 ミレーユは腹をくくったようだが、体はガチガチに固まっている。


「ミレーユ、緊張しないで。初めてでも私なら楽しませてあげられるから」


 それを聞いたヴィヴィアンが隣で目を丸くした。

「えぇ!!!ミレーユ、初めてなの!?でもそういうのって、男の人にとって価値があるんじゃないんですか?」


「そうね、でも大丈夫。処女を喪失せずに特訓する方法はたくさんあるのよ」

 私は壁に掛けてある妖しい道具を手に取ってミレーユに見せる。


「ふわぁぁ~~~!使い方が想像もできません!!」


ミレーユのかわいい反応に、ついにっこりしてしまった。


 私は二人をベッドに座らせ、眼鏡を外し、きつく結んだ髪を解く。堅苦しい服をゆっくりと脱ぎながら、ヴィヴィアンに向かって微笑んだ。


「で、ヴィヴィアンは、こっちね♥」


サキュバスの血を引く私は、他者に快楽を与えるため、他者の欲望を理解するために、魔力で一時的に肉体の形を変えることができる。そう、()()()()()することすら……。


 私のへその下に現れた()()を見たヴィヴィアンは、ごくりと息をのんだ。


「ラ、ラブリア様が、け、研修してくださるんですか!?」


「下手くそならまだいいけど、奇声でも上げられたら、魔王様も興ざめでしょう?事前にきちんと確認しとかなきゃ、ね?」


 その日は夜が更けるまで、二人の研修は続いた。防音の部屋の音は外には漏れないが、その中では様々な叫びと喘ぎと淫靡(いんび)な音が夜通し鳴り響いていた。



――翌朝。


「ラブリア様......!」

 ミレーユは目を輝かせて話し始めた。もう彼女に緊張した様子はない。


「ありがとうございます!研修を乗り越えた私は、ミノタウロスでもドラゴンでも、何が攻めて来ても大丈夫な気分です!魔王様のご期待に応えられるよう、頑張ります!」


「ええ、頑張ってね」


「ラブリアお姉様!!ま、また研修してください~~~!!!」

ヴィヴィアンはうっとりした顔で私の手を握っている。


 私はにっこりと頷いた。



――そして数日後。


私は魔王サリオン様の執務室を訪れ、ハーレムについて報告していた。


「魔王様、ハーレムのメンバーが入れ替わったことをご報告に参りました」


「ああ、カミラが辞めるんだったか」


「はい。家族の看病のため、故郷に帰りました。それとエステラも、メンバー間の不和が改善されないため、来月末で契約終了といたしました」


「ふむ。まあ、お前の判断なら間違いないだろう」


「ありがとうございます。代わりに、二人の新しいメンバーが加わっております。一人は人間のヴィヴィアン、もう一人はオーガのミレーユです」


「そうか。お前が選んだなら、問題ないだろう」


 サリオンは満足そうに頷いた。そして――悪戯っぽい笑みを浮かべる。


「で、お前はいつになったら俺のハーレムに加わるんだ?」


「また、ご冗談を。私はあくまで秘書ですので」


「ふん」


 サリオンがムスッとした表情になる。


「ハーレムに不満はないが......お前が俺の魅力にまったく動じないのは不満だな」


(エロティックジョーク!!!からの拗ねムーーーブッッッ!!!たまらんぬぅ~~~!動じてないわけないじゃないのよ……毎日ノックアウト寸前!!!今も失神五秒前!!!)


 私は心の中で叫びながらも、震えでずり落ちてきた眼鏡をぐいと上げ、冷静な表情を保った。


「魔王様の魅力にもちろん私も心酔しております。しかし、側近の私が心を乱しては、業務に支障が出ます故……」


「……まあいい」


 溜息をつく魔王様に向かって私は恭しくお辞儀をし、執務室を後にした。



◇ ◇ ◇


――その夜、ハーレムでは……


 俺、魔王サリオンは、女性たちに囲まれてソファに座っていた。手には上質なワインのグラス。新人のヴィヴィアンがワインを慎重に注いでいる。


「魔王様、今日も政務お疲れ様でした♪」

 リリアが嬉しそうに話しかける。


「ああ、お前たちも変わりないか?」

 俺はワインを一口飲んだ。皆ニコニコとして頷き、微笑みかければ皆が黄色い声を上げる。


「お前たちは皆、俺のことが大好きだな。可愛いやつめ」


「当然です!魔王様は最高ですもの!」

 セレナが目を輝かせる。


「それに比べてラブリアは……」

 俺は昼間のことを思い出し、ついぼそりと呟いてしまった。


「魔王様?」

 いつもは愚痴など言わない俺の言動に、マリアが不思議そうな顔をしている。


「いや、何でもない。ただ、ラブリアは俺の魅力に全く(なび)かないからな。少し寂しいものだ」


 その瞬間、ハーレムの女たちは一斉に顔を見合わせた。


「何を言ってるんですか魔王様!」

 リリアが大きな声で叫んだ。


「ラブ様ほど魔王様を慕っておられる方はおりません!!」


「そうです!」

 セレナが勢いよく立ち上がる。


「今回の新人含め、私たちは、いかに魔王様が素晴らしいかラブ様に教え込まれてきたのですから!!」


「な、なんだと......?」

 俺は驚きで目を丸くした。


「ラブリア様の研修は完璧ですぅ〜〜~♥」

 新人のヴィヴィアンが、うっとりとした表情で言う。


「本来なら私たちなんかより、よっぽどラブ様の方がハーレムにふさわしいのに!」

 なぜか悔しそうな顔でマリアが続ける。


「しかしラブリアはあんな……堅物(かたぶつ)で、こういう場所は苦手なんだろう?」

 俺は意味が分からず、困惑して聞き返した。


「えぇ~~!!?()()!??」

 リリアが驚いた声を上げる。


「ラブ様ほど柔軟で、様々な経験を積んでいる方はいないですよ!」

「ラブリア様のテクニックは、この世のものではないです!!」

「あ、あんな事もこんな事もご存じで♥」

「私たちを鍛えたのはラブ様なんですから、苦手なわけ……」


 ハーレムの女たちが次々に声を上げた。


「な、何てこと!?私たちはラブリア様に研修されて経験済みだけど、魔王様だけがご存じないんだわ……」


 セレナがしみじみと言った。


「ちょ、ちょっと待て、ラブリアだぞ!?お前たちを、研修!??」

 俺は珍しく動揺を隠せずにいた。


「わ、私たちからは、これ以上は……!」

 全く知らなかった様子の俺を見て、セレナがはっとして口をつぐんだ。


 俺はグラスを握りしめたまましばし固まっていた。


(ラブリアを……問いただす必要がありそうだな……)


 新たな疑問と興味が芽生えた夜だった。


――

次回予告

諜報員ヴァレンのお仕事に密着!ラブリアとの意外な関係も明かされる!!


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