第10話【後編】 リビングドールの真骨頂!?メルのわがままボディは日々進化中!
われはリビングドールである自分の体を魔改造中、胸部に仕込む武器について考えていた。色々と思考を巡らせたどり着いたのは……
「おっぱいランチャーなのだ!!!」
我ながら自分の発想に惚れ惚れしてしまう。胸部から放たれる飛び道具、そんな漫画を見たことがあるような気もする。これぞ男のロマン、最高だ!
「ロケットミサイルを仕込むんですか?グレネードが飛び出すんですか?」
ネフィラトゥーンはちょっと乗り気なようだ。
「爆弾を体に入れっぱなしなんて、私は反対です!何かの拍子に自爆したらどうするんですか?」
フィオナはまだ渋い顔をしている。
「皆が使えるファイアボールやウォーターボールみたいな魔法、われは使えないのだ。だから先に魔法を込めてもらった魔法球を仕込んでおいて、必殺技としてぶっ放すのだ」
「まぁ、そういった魔法なら専用の魔道具も存在していますし、発動しなければ安全に扱えそうですね」
われの熱意に負けてフィオナも諦めたようだ。
その日三人は、遅くまでおっぱいランチャーの開発に没頭していた。
――そして翌朝
「できたのだ!」
最後の調整を終えたわれは机にうつ伏して寝ているフィオナと、大きなビーカーに入って寝ている液体状のネフィラトゥーンを起こした。
「ふわぁ、待ってるうちに寝ちゃってました」
フィオナは目をこすりながら私に目をやる。
「まぁ、胸に2つの水晶が埋め込んであって、いい感じですね」
「で、誰が魔法を込めるんですか?俺たちの魔法だと必殺技にするには弱すぎますよ」
人型になりつつあるネフィラトゥーンもこちらにやってくる。
「強い魔法なら、やっぱり魔王様にお願いするのだ!」
研究室を飛び出そうとするわれをフィオナが止める。
「ちょっとメル様、裸で城をうろつかないでください!まだ朝も早いですし、魔王様も寝ておられるかもしれません」
「せっかくだから、胸にある2個だけじゃなくて、たくさん水晶持って行って込めてもらったらいいんじゃないですか?探してきますよ」
「その間に服を着て、髪も整えましょう。魔王様の前にはちゃんとした格好で行かないと。ね、メル様」
「むぅ、わかったのだ~~~」
――2時間後、魔王様の執務室。
コンコン。われは魔王様の執務室のドアをノックした。
「魔王様、メルなのだ!お願いがあるのだ~~~」
がちゃりと魔法で自動的にドアが開く。
「おお、メルどうした?また写真でも撮りに来たのか?」
今日もかっこいい魔王サリオン様は、書類を机に置いてこちらを見た。
「この水晶玉に攻撃魔法を込めてほしいのだ!われの最終兵器にするのだ~~~」
われは水晶玉をたくさん入れた鞄を差し出した。
「ほう、そんなことでいいのか。ちょうど気分転換しようと思っていたんだ」
魔王様は水晶玉の一つを手に取り掲げて明かりに透かして見ている。
「お前たち四天王が揃ってからは、めっきり戦いがなくなってしまったからな。力も魔力も持て余しているんだ。本音を言えばたまにはぶっ放したいんだが……。で、何の魔法を込めたらいいんだ?」
「ファイアボールやウォーターボール、サンダーボールみたいな、球をぶつける系の魔法なら属性は何でもいいのだ。われのボディに仕込んだランチャーでぶっ放すのだ!」
「なるほどな。じゃあ、水晶が壊れない程度にギリギリまで込めておいてやろう」
そういうと魔王様は次々と、様々な属性の魔法を水晶に込めていった。
コンコン。空の水晶が残り2つになった時、ドアがノックされる。開いたドアからは魔王様の秘書であるラブリアが入ってきた。
「あら、メルがいるなんてめずらしいわね」
ラブリアはわれが彼女にもらったワンピースを着ているのを見て少し微笑んだ。
「ちょうどよかったのだ!後でわれの進化したボディの性能を見て欲しいのだ!ヴァレンとガルドも訓練場に呼んでほしいのだ~~~」
「わかったわ。夕食後に集合しましょう」
魔法を込め終わった魔王様が顔を上げる。
「ちょうどいいところに来たな。終わったところだ」
「お疲れ様です。貿易関連の報告と、明日のスケジュールの確認で参りました」
ラブリアが報告を始めたのでわれは執務室を後にした。研究室に戻って魔法を込めた水晶をボディにセットしなければ……
――そして、夕暮れどき
訓練場へと向かう廊下で、ラブリアとピンク髪のシェイプシフター、ヴァレン=ナイトフォールに会った。われは自分の完成したボディに心躍らせながら話す。
「ふふふ、われの進化したボディを見て驚くのだ!」
夜の訓練場へ向かう道は暗い。われは早速膝を二回叩き、「お膝ライト」を点灯させた。
「見よ、ヴァレン!われの新開発、お膝ライトなのだ!」
「へぇ、いいじゃん。足元が明るい」
ヴァレンがよく見ようとわれに近づく。
「これだけで終わりじゃないのだ!」
われはおもむろにしゃがみ込み、腕をクロスさせて顔を覆う。
「お膝フラッシュ!!!」
周囲に強烈な光が放出される。
「わっ!!こりゃ強烈だ!」
直視してしまったヴァレンが目を押さえる。
「目くらましか、いざという時に逃げれるな。俺も欲しい」
「ふふ、もういないわよ」
少し離れて見ていたラブリアが笑う。
ヴァレンが目を開ける前に、われは訓練場へ走り出していた。
――
訓練場に着くと、既に騎士団長のガルド=バーンが待っていた。集合した四天王のメンバーにわれは渾身の作品を披露する。
「われの新しいボディの機能を見て欲しいのだ!実験にもつきあってほしい」
やっと目が慣れたヴァレンが興味深そうに尋ねる。
「さっきのが1つめか?光る膝、面白いじゃん」
「そうなのだ!まだあと2つあるのだ」
そう言ってスカートの裾を少し上げ、スネを見せる。スライム素材でコーティングされた脚が、光を反射してつやつやとしている。
「何でも弾く★泣かないスネちゃま!われのスネは、今最強なのだ。ガルド、攻撃するのだ!」
ガルドは小さな少女を心配そうに見ている。
「スネか、痛そうだな。大丈夫なのか?」
「打撃で頼むのだ。打撃なら跳ね返せる!剣だと切れちゃうから~~~」
そう言われてガルドは、訓練場の壁に掛けてあった巨大なこん棒を構える。
「ならばいくぞっ!せいっ!!!」
ふり抜かれるこん棒。その威力は、通常の人間なら一撃で粉々になるレベルだ。
だが――
「ぽよんっ!」
予定通りスライム素材が衝撃を吸収したが……ガルドとの質量差で吹き飛んだのはわれの方だった。
「わーーーーーーっ!!!」
ドガッ!という痛々しい音を立てて、10メートルほど後ろの壁に激突する。
「むう、これは想定外。でも、スネはノーダメージなのだ!」
「結果はあれだけど……すごいわね」
ラブリアが呆れ顔で呟く。
「でも、スネで攻撃を受け続けるのは難しいぞ。これは塗料なんだろ?もっと他に塗るべきところがあるんじゃないか?」
ヴァレンは手を顎にあてて使い道を考えている。
「確かに。これは要検討なのだ」
われは再び訓練場の中央に戻った。
「3つめの改造、これは傑作なのだ!飛び道具を仕込んだから、ガルド、受けるのだ!」
「ああ、任せろ。矢でも爆弾でも、ちょっとやそっとの攻撃じゃ驚かないぞ」
ガルドは胸を張った。百戦錬磨のドラゴニュートの騎士。こんなの屁でもない、という自信に満ちている。
「とくと見よ!」
われはそう言うと、ドレスの前をバッと胸までめくり上げた。
少女のボディが露わになり、履かなくてもいいのにフィオナに履かされたパンツも露わになっている。そして胸のふくらみの部分には、怪しい色の魔法水晶が二つ並んでいた。
「なっ!!何を見せてるんだ!?」
ガルドの顔が一気に真っ赤になり、焦って、顔を逸らす。
「われの最高傑作!おっぱいランチャー!!!」
われが叫ぶと魔王様に込めてもらった魔法球から魔法が飛び出した。右乳からはファイアボール、左乳からはウォーターボールが飛び出す。
二つの球はガルドに当たる直前でお互いがぶつかり合った。火と水の高威力魔法弾……
「あっ!しまったのだ」
われは気づいたがもう遅かった。合わさった魔法球は水蒸気爆発を起こし、焦って顔を逸らしたガルドは回避もできず、モロに直撃してしまった。
ドカァァァーーンッ!!!
「ぐおおおおああああああ!!!」
2メートルを超える巨体が、訓練場の外まで吹き飛んで行った。
「すごい威力ね。発動時に服をめくって、敵を油断させる作戦もいいわ!」
ラブリアがうんうんと頷いている。
「いやいや、パンツ見せるなよ。はしたないだろ!!」
ヴァレンはいつも正論でお説教してくる。
「うむ。水と火の組み合わせにしたせいで、思ったより威力がすごくなってしまったが、最終兵器としては完璧なのだ!」
「ガルドの心配をしろよ!あいつがあんなに吹っ飛ぶの、初めて見たぞ!」
ヴァレンの心配をよそに、ガルドはしっかりした足取りで走ってきた。
「おおーい、なかなかすごい衝撃だったぞ!人間なら100人隊くらい吹っ飛ばせそうだ」
「大丈夫そうなのだ。ガルドはドラゴニュートだしタフなのだ!」
「はぁ、使いどころは考えろよ……」
他の魔法弾の組み合わせはどうなるんだろうか?われはすでに次の実験に心奪われて、ヴァレンの言葉は聞こえなくなっていた。
―――
【次回予告】
雌ゾンビ(腐女子)の危機!?魔王様のご趣味♂♀は如何に
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