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第25話

―― Erstein side


 ラザルスが宇宙船内に入った。

 予想はしていたけど、船内の表示はすべてラジルポ語だ。通路の構造も月面基地のそれと似ているけれど…… 全体的な印象は立体迷路だ。

 そのせいか、時々通信が切れるので、物資の集積所に無線の中継装置も入れておいた。


 それ以外は順調だ。

 私は計画通りに、船内の捜索は進める事にする。

 どうやら、宇宙船の大半が倉庫として使われていたらしい。

 無数にある砲塔やミサイル発射管は、外から見えないようになっている。


 ラザルスとの通信が出来なくなって5時間が過ぎた。

 司令室で、何かを見つけたらしい。

 何かが聞こえたような気がすると言っていたけれど……

 またロジックエラーだ。

 すぐにプロセッサーをリセットする。


 探査ロボットとの交信には、何の問題もない。

 ラザルスとの通信だけが妨害されている。

 ものすごく気になるが、今の状況ではロボットを司令室に突入させるのは愚策だ。

 あまりにも情報が少なすぎる。


 過去1時間の処理データを見直してみる。

 ラザルスの行動を予測する内容だけが、かなりのウエイトを占めていた。

 不安要素の計算をしていると、ロジックエラーが出る。

 私はどうなってしまったのだろう。


 どうやら私は深刻な機能不全に陥ろうとしているようだ……


―― Lazarus side


 隠し扉を抜けて、狭い通路を走りながら、これからの手順を確認する。

 自爆装置の解除も、緊急用の核反応炉も手動とは……

 人工知性体が操る端末は、サッカーボールくらいの大きさでありながら、反重力で浮いている。それだけでも大した技術だ。


「それなのにプルトニウムとウラニウムの混合燃料か…… また原始的な構造だな」

『核分裂反応は効率は別として、確実ですから』

「冷却液は?」

『ナトリウムです。常に液化させていますから、いつでも運転できます』


 緊急用の核反応炉は、単純な核分裂反応を利用した蒸気機関だった。

 余熱が充分なら、核分裂反応が始まれば、すぐにでも発電機を回すことができる。

 それならば話は早い。

 炉心から制御棒を抜き取り、燃料棒を入れれば勝手に反応が始まってくれるはずだ。

 制御系のブレーカーを上げると、計器版が息を吹き返す。


「手動制御って、ここまでやる事はないだろうが……」


 汗だくになりながらウインチのハンドルを回し、制御棒を引き抜いた。

 人工知性体に反応炉の作動をモニターさると、循環ポンプのスイッチを入れる。

『核分裂反応を確認…… 臨界…… 今!』

 とりあえずは全力運転だ。

「蒸気が出てきた… 圧力上昇中……」


 発電用タービン、スタート……

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