第24話
―― Lazarus side
『……私は安全機構A1です。人工知性体の機能は一時的に停止させました』
「なんだと?」
『私は、登録されていない乗組員が乗艦し、かつ、その人物が特殊データーベースに記録された声紋パターンと一致する場合にのみ起動します』
つまりは、今の声の持ち主とは違った人工知性体とやらが起動したわけか。
だが、本当に驚いたのは、安全機構A1が放った次の一言だった。
『これから、あなたの認証作業を開始します』
いきなり何を言い出すんだ、こいつは……
「その前に、質問をしたいが?」
『許可されている範囲であれば。ただし時間は限られている事もお忘れなく』
安全機構A1は、やんわりと自爆するまで時間が残っていないことを指摘した。
ここまでの道のりを考えれば、30分で脱出するのは無理だ。
緊急発進を命じても、今からではイーグルを安全圏に避難させるのには……
こうなったら仕方が無いか。
こいつに付き合うことにしよう……
「わかった。……始めよう」
『では、あなたの所属を教えてください』
「所属は国際連盟宇宙軍、月面基地方面隊」
『照合中… 真実であると確認しました』
真実である、と… 確認、した… だと!?
『月面基地にいたのは?』
「どの月面基地だ?」
『国際連盟が作り上げた方です』
「正確には、宇宙軍が、と言うべきだな。定員は300名だ」
『確認しました……』
どういう事だ? こいつは、まさか……?
わきあがる疑問は、とりあえず頭の隅に追いやり、質問に集中する。
A1からの質問、回答、照合……
数時間にも思えるような数分間が過ぎ……
『最後の質問になります。あなたのパートナーであるエルスト・アイン……』
「エルスティン・パープルだ」
数十秒の沈黙の後で、A1が判断を下した。
『自爆装置の解除手順は工知性体に確認を。ご幸運をお祈りします。ラザルス中佐……』
「おい、ちょと待て… A1?」
『あの…… 自爆装置を解除する方法がわかりました。反応炉を起動すれば……』
最初の人工知性体が、おずおずと話しかけてきた。
まずい!
腕時計を見ると、あと10分足らずだ。
「反応炉はどこにある? 案内しろ!」
『はっ、はい…… この端末について来てください』




