第23話
―― Lazarus side
この宇宙船は、実に奇妙な構造だ。
探査ロボットの情報を総合すると、容積の大半は倉庫のようだが、強力な武装もある。
船内に隠されるように配置されているのも、自衛用としては不自然だ。
まあ、こいつが仮装巡洋艦なら…… 攻撃は当たり前か。
宇宙船の反対側までは、調査していないが、構造や配置は似たようなものだろう。
一応は与圧され、真冬なみとはいえ室内温度も、そこそこに上がっているのが、唯一の救いといえばいいか。とりあえず宇宙服のバイザーを開けていても大丈夫そうだ。
「司令室らしきものを見つけた。これから入ってみる」
『気をつけt……』
通信が途絶えたが、また一時的なものだろう。
迷路のような通廊のせいだろう。
これまでに何回かあったが、自動調整装置が数分で復旧させている。
今までとは明らかに造りが違う装甲ハッチを開けると、目の前には映画館を小さくしたような、広々とした空間が広がっている。
艦長席らしいところから全体を見下ろすと、大半のコンソールにはカバーがかかったままだ。機能が中枢AIにゆだねられているか、機能を停止しているためだろう。
「んっ? エルスティン…… 何か言ったか?」
人の声のが聞こえたような気がしたのだ。
『何も言ってないわよ。それより、何か見つかった?』
「何か聞こえたような気がしただけだ」
『もう… びっくりさせないでよ』
幽霊を見れば… という奴だな。
足音か何かがあたりに反射して人の声のように聞こえたのだろう。
ここまでの間に動くものはおろか、生命の痕跡さえ見つからなかった。
だから……
「気のせいだ『Socorro……(タスケテ……)』なあっ!?」
気のせいじゃなかった。
「誰だ! どこにいる?」
『Socorro……(タスケテ……)』
間違いない。これはラジルポ語だ。
自慢じゃないが、私は日本人だっ! ……自慢になってないか。
それとこれとは別という事にしておいて、だ。
「Mudanca usar em Lingua japones!(日本語を使え!)」
ラザルスは話しかけてみた。
『……私はこの艦に搭載された人工知性体です。あと30分で本艦は自爆します』
ふむん、やってみるもんだ …って…
「自爆装置だとぉ? アシモフ・コードはどうなっているんだ」
『私の機能では自爆装置の解除ができません。場所もわかりま……』
「おい! どうした!?」
人工知性体を名乗る女性の声が途切れると、室内に男の声が響き渡った。




