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第19話

―― Astesia side


 北極から進入してきた球形宇宙船が再び無人探査機を射出した。

 今回は大部隊だが、その動きは実に統制が取れたもの。

 破口から艦内に侵入すると、30分と経たないうちに橋頭堡を作り上げてしまった。

 無人探査機の出現からの時間を考えると、その思考能力は優秀の一言につきる。


 それにしても気になる。

 無人探査機やロボットが、あまりにも原始的な構造だ。

 宇宙船の完成度が高すぎるので、余計にギャップが目立つ。

 無人探査機の推進器は、過酸化水素とケロシンを使ったロケットエンジンだ。

 わざわざ原始的な作りにしているのは、使い捨てを前提にしているとしたら?


 10時間が過ぎる頃には、ロボット部隊が橋頭堡を作りながら前進している。

 艦内の大半倉庫区画だから、基本的に与圧すらしていない。

 巨大なジャングルジムのように、内部構造材が縦横に走っているだけだ。

 だから、与圧してある人間用の設備を見つけるのは簡単だったかも知れない。


 下位のシステムから報告があった。反応剤の残りが130時間を切ったそうだ。

 同時にデーターのバックアップを取るかどうか確認している。

 これは戦闘記録や航宙日誌などをカプセルに入れて、宇宙空間に放出するためのもの。

 私が、地殻に送り込んだポッド群は、これを改造したものだ。

 データをポッドに転送すると、いつでも放出できるようにしておく。


 とりあえず通信内容の解析をしてみよう。

 まず、使っているのは32ビットコードで…… 言語はジャポネ語で間違いない。

 地球教の経典と、付属する資料がそれを裏付けている。

 これは帝国の国教であり、それは、こう説いている。


 全ての人類の発祥はソル系テラ… 太陽系第3惑星・地球だ、と。



 しかし、この表意文字を中心に構成される言語体系はあまり使われていない。

 言語としては複雑すぎるし、文字が多過ぎるためだ。


 それは別として。

 彼らの行動パターンは、ある意味では異質なもの。

 最終的な目的は、司令室だと思うけど……


 でも、敵対的な行動に対しては、それなりに対策はしてある。

 フォーザンメ造船所の保安担当者達が、侵入者対策として考え付くかぎりの陰険なアイデアを提供してくれた。自衛のためには、時としてアシモフ・コードを無視しても構わないとも言ってくれた。

 だから、指令室に続く通路は立体的な迷路になっている上に、無数のトラップが仕掛けられている。


 でも、正直に言うと、人命に関わるトラップは使いたくない。

 意味もなく人の命を奪うのは、それがどのような状況であっても許されないと思う。


 だから……

 私が彼等とコンタクトを取ってみるのも……

 ひとつの選択肢として採用するべきなのかもしれない。

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