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第18話

―― Erstein side


 無人探査機を大量投入した結果、宇宙船(の残骸?)の詳細がわかってきた。

 宇宙船が大破したのは、攻撃を――至近距離で原子爆弾が爆発したとか、宇宙船が特攻した――せいだろうと思う。それと内側からも爆発したように見える。


 私はこうなる前の元の姿を想像してみた。

 サファイアのような、宇宙空間の闇に溶け込むような深い紺色に身を包み、レンズ型を基本とした流れるようなフォーム。

 それは、機械の私が嫉妬すら感じてしまうほどに洗練されたデザインだ。


「よしっ! あそこから入れそうだな……」

『ちょっと待ってよっ!』

 ロッカーからいそいそと宇宙服を取り出すラザルスに待ったをかけた。


 ヴヴヴヴヴヴ……

「げふぅっ……」

『しばらくは外出禁止です』

 高重力で潰れてかかっているラザルスにぴしゃりと言い切った。


『あれが自沈させそこなったと見せかけたブービートラップだったら? ある程度まで侵入したら作動するトラップがあっても… 不思議じゃないわよ?』

 私にとっての最優先は、ラザルスの安全を守ることなんだからね。

 こんなところでブービートラップにかかったなんて、笑うに笑えないわよ。


 天興3年に勃発した世界戦争で、中央同盟軍が燃料切れで放棄した戦車や、弾薬切れの大砲にどんな細工をしたのか知らないとは言わせないわよ。

「う~ん、たしかにそういう事もあったな」

『そういう事、じゃないでしょ! とにかく先行調査を始めるから待っててよね』

「わかった…… わかったから…… 4Gやめ……」


 ラザルスが地表から回収してくれたセンサーポッドから、相手のレベルは想像がつく。

 基本的には、私達のものと同じだ。128ビット・コードを使い、CPUをいくつか並行稼動させて処理能力を上げている。小型化が進んでいるのは、時代の流れでしょうね。

 でも、おかげで色々な事がわかった。


 作業用ロボットの一部を無重力環境下でも動けるようにすると、無人探査機で送り込む。

 前回の教訓から、ロボットにはちょっと細工しておいた。

 外部からアクセス出来ない特殊回路に、自己チェックプログラムを組み込んで… ハッキングされたら、すぐに自爆するようにセットしてみたの。


 炸薬はほんのわずかだが、それなりの効果は期待できると思う。

 こんな事で反物質炸薬を使うのは、やり過ぎかも知れないけれど、まあ、いいか。

 ディリチウムのストックは10トンくらいあるし。

 それに対して、今回の細工に使うのは、全部でたったの3キロだし。


「……お前は時々、凶悪なことを考え付くなあ」

『罠だったら一発でわかるし、何かあったときの足止めにもなる。合理的でしょ?』

「ま、まあな……」

 そういうラザルスの顔が心なしか青ざめているのは、まあ、気のせいという事で。


 安全が確保できたら、北極の穴から入ってみましょうか。


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