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第1話

―― ??? side


 私が星の海に漂いだしてから、すでに長い時間が経っていた。

 艦体を彩る暗い色の電波吸収塗料は、電磁波の反射を最低限におさえ、同時に宇宙空間に溶け込む助けになっている。

 光学迷彩装置を使わなくても、敵に見つかる確率はきわめて低いはず。


 自動修復装置は、艦内の機材を点検し、自らを含めた全ての機器の完全な状態を維持してきた。特殊合金とプラスチックを使い、人の手で作り上げられている私だが、それが為している事は建造者のそれと同じようなもの。


 私が生まれたのは、ミームアリフ星系にあるフォーザンメ造船所だ。

 そこは惑星こそないものの、小惑星帯の豊富な鉱物資源に目をつけた神聖人類帝国は、帝国でも最大の兵器廠を建設した。

 そこからは、無数の宇宙船が生み出されたもの。


 そして……

 ここで建造された最後の航宙艦と、インストールされた私をアステーシアと命名した。

 私の同型艦だけが持っているパーソナルネームだ。


 エスポーサ級の航宙艦母艦として建造された私は、6隻の巡洋戦艦を搭載できる航宙艦母艦でありながら、他にはない程の強力な武装を備えている。

 そして、私だけの装備している自動修復装置は、自らの複製すら作り上げることが出来るもの。

 その他の設備も長い航宙を前提としたものだ。


 本来ならば、搭載艦が収まるべきスペースにさえも、造船所からかき集めてきた資材や工作機械が押し込まれている。それは人間の居住スペースも例外ではない。

 そして格納庫に収まるはずの搭載艦にも物資を詰め込んで、造船所を後にした。


 そして、1年が過ぎた。


 ようやく着いた恒星ラーアリフとは、実に奇妙な天体だった。

 黄色い恒星を球状の地殻が覆い隠している。

 その直径は3億キロメートルもある。

 外側には、無数の小惑星が複雑な軌道を巡っている。


 比較的大きな小惑星や地殻の外側にはいくつかのポッドを打ち込んでおく。

 ポッドに搭載してあるのは、核バッテリーとセンサーに同調した通信機。

 もしも味方が接近したら私に知らせるようにセットしてある。


 私は、北極に開いている穴から、内部の空間に進入した。

 殻の内側ならば、敵に発見される確率はきわめて低いはず……

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