第15話
―― Erstein side
そして翌日……
ラザルスのために用意した朝ごはんは、大豆シリアル・バーと味噌汁と納豆と野菜の炒めもの。
言っておくけど、この前の一件とは無関係だからね。
それはそれで、きっちり腕を振るいましたとも。
今回は乱数の出が悪かっただけよ。お気の毒様。
「でかいな……」
司令室に立体表示された宇宙船は直径5キロ。
粗い画像に過ぎないが、一番厚いところで2キロほどのレンズ型のようだ。
「宇宙船というより、宇宙都市だ」
『でも、あそこにあるのは反動推進装置の一種かも知れませんよ』
「浮遊物の中身から、乗組員は地球人サイズなのは間違いないところだが……」
それにしても大きい。
ちょっとした都市がすっぽりと収まってしまう大きさだもの。
普通に考えるなら、それを運用管理する基地があってもいいと思う。
レーダーや質量探知機に反応しない宇宙船を作る技術があるんだから、そう簡単には見つけられないでしょうけれど、ね。
でも、なぜ修理もしないで放ってあるのかしら。
「基地が見当たらないのも当然かも知れないな」
『どうして?』
「これだけ派手に動いているんだから、探知されるのは当然だ。現に探査機はハッキングされたしな。でも、それ以上のリアクションは無い。 ……静かすぎると思わないか?」
言われてみればそうだけど……
『ここに逃げ込んだものの、動きたくても動けない?』
「あれだけ壊れていては、無理だろ」
修理不能となれば、廃棄処分しかないわけで。
と、いう事は……?
『ここで自沈させるつもりだったとか?』
「対探知システムが生きている。何よりも探査機をハッキングした理由になるかな?」
探査機から送られてくる情報が増えるに連れて、細かいところがわかるようになってきた。
何らかの理由で内部爆発があったようだ。
半分くらいは壊れているようだし、穴の奥のほうから弱い赤外線が出ている。
こうなったのは、我々の到着よりもしばらく前の出来事だろう。
「大破というより、半壊だな。ここに逃げ込んだと考えるのが無難、じゃないか?」
『ここで戦闘があったというのは?』
「ありえるな。は取れるだけの情報を取ってから考えよう」