第13話
―― Astesia side
球形宇宙船が放出する無人探査機が急に増えた。
地殻の内側に放出したものの軌道は典型的な捜索パターンだ。
ポッドの近くにも探査機が着陸したようだ。
と、いう事は…… バレた?
いや、まだ大丈夫だ。
だけど、空間を区切って、しらみつぶしに探している。
単純で時間は掛かるけれど、確実な方法だ。
動くことができない私が見つけ出されるのは時間の問題だろう。
でも、探査機はポッド経由で簡単にハッキング出来るくらい単純なものだし。
何かあったら、欺瞞情報を流すことにしよう。
相手が、連邦軍だと決まったわけではない。
それに、今の私には、他に出来る事があるわけでもない。
ポッドとの通信を終えると、修理の進行状態をチェックしてみた。
反応剤は、あと250時間ほどで使い切ってしまう。
それまでにエネルギー・ステーションの修理が終わらなければ、自爆装置が作動する。
これは約1トンの反物質を、6つの電磁石でホールドしているだけだ。
電源が切れれば、電磁石への電力も途絶えてしまう。
ひとつだけは内蔵されているバッテリーで、1分間だけ稼動し続ける。
引き寄せられた反物質が、ケーシングに触れたとたんに、どっかーん!
これだけの質量が対消滅反応を起こせば、結果は… 想像するまでもない。
本来なら私には知らされる事のない情報だけど、テク・マンの一人が『うっかり』口を滑らせてしまったのだ。
だから。
ラーアリフに着いてから、自爆装置がどこにあるのか、探した事がある。
今までのところ、見つかってはいないけれど。
『ポッド262よりマザーへ……』
いくつかの無人探査機が、私の近くを通り抜けようとしているのがわかった。
すぐに、探査機のコンピューターをハック。
探査プログラムを書き換える。
これで、相手は私を『見ている』かも知れないが、それと認識しないままだろう。
安全圏に入ったら、プログラムを元に戻すことも忘れない。
これで、少しは時間が稼げそうだ。