第12話
―― Erstein side
どうやら、浮遊物の出発点はひとつしかないようだ。
追加で拾ってきたコンテナや破片は、ラザルスが調べているけど、成果はいまひとつ……
有意信号は、私が分析を進めているけど、こっちも今ひとつ。
まあ、内容はともかくとして、地殻にある信号の発信地点の場所と数はわかってきた。
『地表に基地… 反応が小さいから、無人の何かかも……」
「かなりの数だな。これなら地表のほぼ全域をカバーしていると思っていいな」
『内側も外側も、ね』
どうやら、無数の観測拠点があると思っていたが、かなり大掛かりなものらしい。
ふむ、どうしたものか。
『ラザルス?』
「ん~」
『どうしたの?』
「面倒くさくなってきた」
椅子の背もたれを後ろに倒して、あふあふと大あくびをした。
このおおおっ!
こっちは有意信号の解析が行き詰っているというのにっ!
『真面目にやりなさいっ!』
ヴヴヴヴヴヴ……
「げふぅっ……」
『とりあえず、信号の発信源の調査をするわよ』
ラザウスの身体をロボットを使って、宇宙服の中に押し込んだ。
「そ、その前に…… 重力戻し……」
あ、忘れてた。まあ、いいか。
4Gくらいで死ぬ事はないし。
『これでいいでしょ、じゃあ、行ってきてね』
「わかった」
ラザルスの乗った宇宙零戦を送り出すと、私は私なりの仕事がある。
一瞬だけ見ることの出来た宇宙船だ。
対探知システムのせいで、レーダーなどでは『見えない』けれど、それならそれなりに方法があるというもの。
単純に、光学的な手段で見ればいい。
何にせよ、データがある程度集まれば、簡単な作業だと思う。
地殻にある穴の開きかたと、浮遊物の軌道の分析。
統計を取るのに十分なデータは集まっているから……
探査機を相手が太陽を背にするような軌道に乗せて、カメラで撮影して。
帰ってきたら、画像をチェックして、次の撮影ポイントに送り出す。
相手が静止軌道に乗っているとは限らないので、索敵範囲は結構広いと思う。
ここから先は根気との勝負になるでしょうね。
だから、少なくとも、こっちの仕事には人間の出番はない。
ごめんなさい、久しぶりに寝坊しました<m(__)m>