第11話
―― Lazarus side
最初に比べれば、艦載頭脳もずいぶんと賢くなったものだ。最初は単語に反応して機械的に返事を返すだけだったのに。
自己教育型のコンピューターというのは、扱い方を間違えると厄介だ。
と、いうより…… 急に人間くさくなったような気がする。それも、
かといって、いまさら初期化して、最初からやりなおすのも面倒だ……
『何か不穏当なことを考えませんでしたか?』
「いやいや、そんな事は決してないぞ?」
『ふうん?』
や、やばい。
バレてるか?
「……それより気になることがあるんだが……」
『例の浮遊物?』
「奇妙だと思わないか? 爆発に巻き込まれたようなモノもあったぞ」
『焼け焦げやススのついてるのもあったわね』
「調べてみるか。ものすごく気にならないか?」
『言われてみれば、そうかも……』
ふう、話題そらしに成功。
この前のいきなり4Gはきつかった。食後だったら、やばかったかも知れん。
「どうする?」
『あんまり時間を掛けたくないんだけど』
「仕方が無いだろ。……放っておいて背後から、というのは嫌だからな」
『それはそうだけど……』
この状況は何かがおかしい。
赤道付近に開いていた穴。
一瞬だけ探知した宇宙船。
回収した浮遊物は、どうみても同一の文明の産物。
それも焼け焦げ、ススだらけのものもあった。
オールド・タイマーのものとは思えない浮遊物と暗号通信……
そうだ、通信だ。
始めは太陽風が奏でるドーン・コーラスかと思っていたが、中身を調べてみたところ、間違いなく有意信号だ。それも、デジタル信号ときている。
そして発信点はかなりの数になる。
『電波発信源は、一種のセンサーポッドのようね』
「浮遊物については?」
『同じ場所から流れ出したと仮定すると、座標はかなり絞り込めるわよ』
「やってくれ」