18-ブドリ君の物語 再び (第2部エピローグに代えて) <どこまで行くの?> 4
僕は、モニターに映るミヤサワクンのどこか自分に似たジャガイモ顔を見ながらイロイロと考えていた。
あの小学生の頃の水害遺体の発見、中学生の頃の重症を負った迷子の発見をきっかけにして、高校の頃の無理心中事件での救命、『マリアの予言』による大規模地震の予知と行方不明者と遺体の捜索、雪害の予知と対策s、ハルキ君の『感染症アラート』、穀物の病害、そして今回の大規模噴火の予知へと、小さな身の周りの事件・事故から大規模災害の予知・対策へとその活動範囲と対象を広げて来た。でも、まだまだやれること・やるべきことは多いように思う。
「ということで、ミヤサワクン。今度の火山活動の可能性のある地殻変動への対応は、できるものなのかな?」
「わからんねえ。でも実績があるから、地域行政も国も真面目に検討してくれているようだよ。」
「ミヤサワクンにも苦労を掻けるね。」
「なんの。それが僕の存在意義だと思うよ。でもね、新しい事象には、まだまだ僕も知恵が足りないなあ。悔しいなあ。」
「へ〜ぇ? ミヤサワクンも悔しく思うことがあるの?」
「そりゃ、あるさ。僕には人工とはいっても『人格』があるんだもの。」
「なるほどねえ。」
椅子の肘掛けには頭に白い羽根を何本も生やしたカー太ンが目を閉じてとまっている。僕はカー太ンの頭を撫でながら黙ってモニターのミヤサワクンを見ていた。ミヤサワクンが問うてきた。彼から問いが発せられるのは大変珍しい。
「…ねえ、ブドリ君。僕たちはどこまで行くのかなあ?」
「行けるとこまでいくさ…寿命が尽きるまで走り続けるさ。 いや、寿命がつきても『狭間の世界』で走り続けるのかもしれないねえ。」
「僕はシャットダウンされたら、『狭間の世界』に行けるのかなあ?」
「さあ? わからんねぇ?」
僕とモニターのミヤサワクンは二人で笑いあった。カー太ンも『ククク』と含み笑いをしている。
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