16-双子と両親の物語<午後のお茶会> 6
「ピンポ〜ン♪」
「は〜い。あらお久しぶりです。午後のお茶会にようこそ。コーちゃん、ヨーちゃんは庭の方へどうぞ。真知子やハルキ君、それとカラスが遊んでますよ。」
「お久しぶりです。その〜、これ、つまらないものですが。」
「あら、『おひげ父さんのシュークリーム』ね、こんなに沢山! 私、これ、大好物なの。…あのこれ、カラスさん達にお裾分けしても良いかしら?」
「ええ。もちろん。」
「あ、まず上がってくださいな。 山田さん! コーちゃんヨーちゃんのママが来ましたよ。 さぁさぁ、居間の方へどうぞ。」
居間ではすでにハルキ君のママがお茶を飲んでいた。
「初めまして。ハルキ母です。」
「初めまして。コーヨー双子の母です。」
「あら、双子のお母さんって聞いていたから、もっとどっしりとした人だと勝手に想像してました。華奢でスリムで若いお母さんね。」
「そんなことありませんゎ。」
「さあ、立ってないで座って座って。 美知子さ〜ん。彼女へお茶をご用意くださ〜い。」
しばらくして美知子さんが先ほどのシュークリームと追加の紅茶を持って居間に入って来た。
「山田さんは、…何か図々しいわねえ。 ブドリ君が『庇を貸して母屋を盗られる』って言ってたのが、よ〜くわかるわぁ。」
「ありゃ。こりゃ失礼しました。」
「「あはは」」
「お二人は仲良しなんですねえ。」
「まあ、もう長いこと一緒にご飯を食べてますから。」
「…大変、お世話になっています。」
「大変、お世話してます。まあ子供同士も仲良し…というかほとんど夫婦になってますから…。」
お母さん達のお茶会は、和やかにはじまった。
♫ ♫ ♫ ♫ ♫
「「来たよ〜」」
「「いらっしゃ〜い」」
「「カ〜」」
「「クワッ」」
真知子とハルキとカー太ンズは、双子とクー介とクー次達を出迎えた。
庭のウッドデッキの上に4人と4羽は車座になって座っている。
「「今日は、お土産にシュークリームを持ってきたから、おやつに出ると良いなあ。」」
「それは嬉しいけど。…カー太ンズの分はあるかしら。」
カラス達はそろってコー吉直伝のリアクション芸「頭を抱える」を披露した。
「もし無かったら、僕の分を半分上げるよ。」
「私も」「僕も」「僕も」
「「「クワッ」」」
カラス達はその申し出を聞いてみんな両羽根をあげてバンザイをしながら喜びの声を上げた。
シュークリームは思ったより沢山出て来た。紙コップのジュースと犬用の容器に入れられた牛乳もサーブされた。取り合いの喧嘩にならなくてよかった。




