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狭間の世界にて  作者: リオン/片桐リシン
02-クーボ大博士の物語 全5話
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02-クーボ大博士の物語 <炎天下の路上にて>

新章 第1回目です。

短いです。

 僕は駅へと向かう大きな通りの歩道を歩いていた。

 蒸し暑い。

 今日の予想最高気温は38℃だった。今日の予想最高気温は昨日よりも1℃高い。38℃! まさに『命に関わる危険な暑さ』だ。この言葉をこの夏、何回聞いただろうか。今朝もテレビは『熱中症警戒アラート』を伝える。『外出を控える』ように警告する。

 しかし、今日、僕はどうしても外出しなければならない。何があっても今日の晴海のイベントに参加しなければならないのだ。今日まで、このイベントで使うお金を準備するためにお小遣いを節約してきた。今日も僕は家から駅へのバス賃も節約するために、このクソ暑い中バス道をひたすら歩く。若いうちは時間と体力はあってもお金はないのだ。

 温暖化のバカヤロー! 二酸化炭素のアホたれ! と毒づく。

 暑さに毒づきながら、僕は駅への道を苦行僧のように歩んでいた。道脇の酒屋の自販機が僕に冷たい飲み物を勧めてくる。でも、その100円も惜しい。

 汗が頬を伝い、顎から地面に落ちる。コンクリの歩道に一瞬黒くシミを作るがすぐに乾いてしまう。暑さに頭が痛くなる。

 帽子は必要だったかな。最後に帽子をかぶったのは、いつだったかな? 小学生の時だったかな? もうずいぶん昔だな。

 などなど、とりとめも無く考えているうちに、周りの光景が白くなっていく。

 あれっ?

 めまいで立っていられない。足に力がはいらない。

 無理せず、さっきの自販機でスポーツドリンクを買えばよかった。でも、後悔先にたたずだ。膝からくずれ落ち、歩道のアッチッチのコンクリートに体を投げ出した。頬が路面で焼かれる。熱で脳味噌が煮える。意識を失う直前に、遠くに女の人の悲鳴や救急車のサイレンを聞いたような気がする。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


ここからは、週2〜3回を目処に更新します。

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