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狭間の世界にて  作者: リオン/片桐リシン
14-真知子ちゃんの物語 全6話
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14-真知子ちゃんの物語 <隠し事>

 危な〜。美知子ママは何か気がついているみたいね。ダンナから何か聞いたのかな? カー太ンとカー太ン母を介して間接的におしゃべりしてカラス語の修得に努めていたら、何か違和感を覚えたみたい。いきなり「真知子ちゃん。あなたはだぁ〜れ?」と目が笑っていない良い笑顔で問われちゃった。 私とカー太ンが何を話しているかは美知子ママにはわからないと思うの。でも、自重しましょ。ママに気持ち悪がられて、育児放棄されてはたまらないわ。


 バレテ〜ラといえば、おばあちゃんの真子さんははじめての顔見せのときに私の正体を看破してきたわ。真子さんは狭間の世界でアーちゃんの親権争いで楽しくやりあった真理子さんなの。 こんな形で肉親になるとは思わなかったなぁ。狭間の世界で真理子さんが私のことをバーサン呼ばわりしたのを忘れてはいないわょぉ。しゃべれるようになったら今度は私が真子さんを『おばーちゃん』と呼んでやりましょ。ウフフ楽しみ。 そして、ブドリ君がアーちゃんだということもそれとなく教えてもらった。うん、知っていたわ。なるほど、世代を飛び越えてミヤサワの一族は、記憶を持ったまま狭間の世界と現世の間で生まれ変わりを繰り返しているようね。ただ、残念なことに、『ブドリ君』=『今世のパパ』=『アーちゃん』は狭間の世界の記憶がないみたい。一方で彼は私や息子と同じく幽霊、霊魂とお話しができるようね。その力でブドリ君はカー太ンと知り合い、警察に協力し、大地震の発生を2回も予言して多くの人を救ったのよね? その貢献で、ブドリ君とカー太ンのコンビはこの街で、警察や消防などの行政に大事にされているみたい。なるほど、近所のおばさん達の好意的な態度の理由はこれかぁ〜。ブドリ君の活躍を見逃しちゃった。残念ねえ!

 私はひ孫のブドリ君と同じく、幽霊とか霊魂とかいうものが見えるし、お話もできるようなの。長く狭間の世界に関わると、そのような能力が身に付くのかしら? カラス母さんを間に挟むと、カー太ンと私の間で意思を疎通できるの。カラス母さんは私とカー太ンの間の通訳みたいなものね。そのおかげでこの街の治安の良さや、ブドリ君とカー太ンの関係、ブドリ君の能力を別の視点から知ることができたわ。これはこの先、退屈しないで済みそうだわ。


 ♫ ♫ ♫ ♫ ♫ 


 ブドリ君のよくお参りしているお地蔵様にブドリ君夫妻(お父さんとお母さん)に抱っこされて連れて行ってもらったわ。そこには息子(ミヤサワ君)と嫁の理恵子さんが透明になって鎮座していたの。私の顔を見てビックリしていたわ。お前達、こんなところで何をしてるの?

 「っておふくろ? なんで僕のひ孫に生まれ変わってんの〜ぉ?」

理恵子さんは冷静だ。ニマッと笑って、

 「お久しぶりです。お義母さま。また現世でお会いできるとは思いませんでしたわぁ。」

うん。これで心残りだった嫁姑バトルを現世で堪能できそうだ。仲良くしましょ。


 お地蔵さんになっちゃった息子夫婦は現世にさまよう子供の霊魂をあるべき所に戻したり、狭間の世界に送ったりしているそうな。それってまんまお地蔵様のお仕事じゃなぃ? 幸いに、息子(ミヤサワ君)を介することで、現在の私のお父さんのブドリ君と私の間での意思疎通もなんとか可能になった…みたいな? でも、この状況を真知子さんに教えるのは危険であるという認識でお地蔵さんになった息子と意見が一致したの。家族で秘密を抱えるのは良いことではないし、心苦しいけど、私が成人して経済的に独立するまでは、黙っていましょ。嘘を付くわけではない、黙っているだけだわ。あえて言えば未必の嘘よね。そんな私たちの会話を聞いて、私が曾祖母だと理解したブドリ君は何も言わずに苦笑している。


 「ところで、ジーさんを現世で見かけなかった?」

 「おやじか? 見ていないなあ。一緒に現世に戻ったの?」

 「『さっさと来なさい!』え3って言ってから私ひとりで上がっちゃったんだけど。」

 「じゃあまだ狭間の世界に残っているのかもしれないねえ。」

 「あのひと、久保さん?と気があっちゃってね、何か狭間の世界で議論ばっかりしていたわ。」

 「久保さんじゃなくて、クーボ先生だね。白ヒゲのおじいさんだよね。」

 「そうそう、そのクボさん。あの人、時間を忘れてま〜だ議論しているのかしら。困ったもんだわ。生まれ変わっても一緒になろう、って言ってくれたのに。有言不実行よ。言うだけ番長よ。早くこっちに来てくれないと結婚適齢期が会わなくなっちゃうわ。」

 「…まあ、真子のダンナも真子より年下だし、そのうちやってくるさ。」


 お地蔵様の前でお地蔵さんをしている息子と楽しくお話ししていたら、美知子さんからインターセプトされちゃった。

 「あなたも真知子も楽しそうにお地蔵様とお話ししているみたいね。」

 「「「「ギクっ!」」」」

2人と2体?はうろたえた。


 「…うん。そろそろ帰ろうか...ハハハ。」

ブドリ君は嘘をつけない人のようね。ポーカーフェースでもっとしっかりごまかしなさい。美知子ママからみれば、私は「ダーダー、アムアム」とお地蔵さんに語りかけているわけだし、ブドリ君はその様子を見て、黙って苦笑しているだけだわ。 うん。ばれる訳がない… と思いたいわね。

 でも美知子ママは勘が良さそうだから… 気をつけましょ。さすが私のひ孫だわ。


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