神様とケーキと願い事
「はい」
俺は約束通り神様にケーキをお供えした。
「おお!これがけえきか!」
神様が眼をキラキラさせながら箱を丁寧に開けていく。
中に入ったケーキを見て、一層眼を輝かせていた。
「この白いのは……?」
「それは生クリーム、で、上にのってるのがいちご」
「いちご!それは俺も知ってるぞ。いちご大福と同じやつだろ」
フフンと神様がドヤ顔をする。
いちごを知ってるだけでそんな顔をされるとは。
クスッと笑みがこぼれる。
「いっただっきまーす」
そんなのをお構いなしに、ケーキをパクっと口に入れる。
「………………」
ケーキが美味しくなかったのだろうか。
少し緊張しながら様子を見ると、突然、神様の眼がカッと見開いた。
「うっ……」
「……う?」
「うまーーーい!!なんだこの食べ物は!!甘くて綿菓子みたいにフワフワしていて、それにこの黄色いカステラのようなものもうまい!!」
そう言いながら、神様は眼にも止まらぬ速さで完食してしまった。
「ごちそうさまでした」
空になった皿の前で両手を合わせる。
「お口に合ったようで何より」
「おう!うまかったぞ」
笑顔を見ると嬉しくて心がじんわりと温かくなった。
そろそろ退散しようと腰を上げる。
「「じゃ、俺は…」満、次はどんなの持ってきてくれるんだ?」
神様が眼をキラキラさせる。
「……え?つぎ……⁇」
「ああ、つぎだ」
「いや、いやいやいや。何でさも当たり前のように言うんだよ。ケーキを持ってくる俺になんのメリットがあるんだよ」
「メリットか。まーた、人間は面倒なことを言うな。メリットがあろうとなかろうとよかろうに」
イラァ
「じゃあな。明日からちゃんと賽銭すっから」
そのまま無視をして立ち去ることにした。
「まてまてまて!!」
神様が俺の足にぎゅうっとしがみつき全体重を乗せる。
「なんだよ」
束縛から逃れようと必死に足を動かす。
「賽銭はいらぬから、けえきとやらを持ってきてほしい!!その代わりに!」
「その代わり?」
神様が指を三本俺の顔の前に出す。
「願い事を三つか叶えてやる」
「……ねがいごと?」
「そうだ。三つだ。なんでもよいぞ。大抵のことは叶えられる」
フフンと神様がドヤ顔をした。