金魚
金魚
軒下の大きな甕で、出目金を5匹、
スタンダードな、小さいのを2匹、
みんなで、可愛いがっていた。
帰ってみたら、
甕の外に、ひらひらとした、
しっぽが5つ、落ちていた。
本体はどこかと探して見回して、
思い出した。
見かけないシラサギが、
向こうの木の上に、
とまっていたのを、
何度か見ていた。
あの長いくちばし。
あれなら。
深い甕など意味がない。
どうして、
金魚がいるとわかったか。
なんだか、敗北感。
生き残った小さい赤い2匹。
部屋の丸い金魚鉢に移したけれど、
すっかり怯えて、水面近くには、
上がってこなかった。
もしかして、きみらは、
大きな出目金たちに、守られたか。
それでも、きみらにとって、
あのシラサギは、得体の知れない、
巨大な、怖いものだったろう。
傷が、残ってしまうかな。