はしご
「あら? はしごを下りていくのね? ちょっと怖そうですね……」
引き出しをのぞき込むまどかが言う。
「そうなんだよ。まどかちゃんもはしごは下りたことないでしょ?
俺が先に行って、下で待ってるよ」
落ちそうなったら、アキラが下から支えると言うと、
「何言ってるんですの!? 私が先に下りますわ!」
アキラの言葉に怒り出すまどか。
「ええ!? 大丈夫? 危なくない?」
心配するアキラ。
「バカ言わないでください! 私スカートなんですよ?
アキラちゃんねるが下にいたらパンツ丸見えですわ!」
まどかはスカートの裾を指さす。
「ああ、そっか……そういう意味じゃなかったんだけどなぁ……」
「まったく、油断も隙もありませんね!」
10歳年下に説教されるアキラであった。
その時、花子は昔のことを思い出していた。
「あれ……? アキラさん、私が初めてここに来た時って……仕事帰りでスカートでしたよね……?」
「え……?」
マズイ! という表情のアキラ。
顔を赤らめる花子。
「くっ……やっぱりアキラさんは変態ですねっ!」
「そんな……」
(ああ、たしかにあの時はハッキリと見させてもらったな……)
◇
はしごを下り、ダンジョン入り口の扉の並ぶロビーに着く3人。
「ちょっと、なんですの……これ?」
まどかは扉の前で目を丸くし立ちすくむ。
「し、信じられないわ……行きたいレベルのダンジョンを選べるっていうの!?」
「あー、やっぱりこのダンジョンは珍しいのかな?」
「珍しいなんてもんじゃありませんわ!
普通は『A町のダンジョンはレベル5、B町のダンジョンはレベル10』といった風になっていますわ!
こんなの……天国ですわッ!」
まどかは目を輝かせ、大興奮のようだ。
「そっか……そんな良いダンジョンが俺の部屋にできるなんてな……」
「本当、アキラさんはラッキーでしたね……」
アキラと花子はこの幸運を嚙みしめていた。
「さて、じゃあいつも通り、レベル5にしようかしら?
……そういえば『アキラちゃんねる』の最高レベルはいくつだったかしら?」
「えーっと、俺たちはレベル10が最高かな? でもアイテム新しくしたら楽勝だったから次はもっと上のレベルに行くつもりだけど」
アキラは何気なく言った。
「レ、レベル10!? たしかに配信では強そうなゴリラと戦ってましたわね……
くっ、な、なら私はレベル11に……」
『アキラちゃんねる』に対抗心を燃やすまどか、しかし、
「バカなこと言わないの! 私たちは2人でレベル10よ。このダンジョンは初めてなんだから無理のないレベルにしなさい!
ここで死なれでもしたらコッチも迷惑よ!」
花子は厳しく言う。
「うぅ……分かったわよ……じゃあレベル5にするわ……」
しぶしぶ納得するまどかだった。




