2 ぐーたらOL、女神様に出会う
次目覚めると、見慣れないものが目に入った。
一面の夜空だ。それも、無数の星に飾られた。完全な暗闇を失った東京では、絶対に見ることのできないような、そんな空。
それから、背中にも妙な感触を感じる。しっかりと支えられているのに、手を伸ばしてかき分けると際限がない。そう、まるで雲みたいな。
そこまでゆっくりと感じ取って、ようやく私の脳は事態の異常さを認識した。
「はぇ!!?」
認識してなお、そんな声しか上げられなかったのは実に情けないことだが。
『目覚めましたか。』
大混乱のさなかに声をかけられ、わらをもすがる思いでそちらを見る。そこにいたのは、
「女神・・・?」
光って、浮いて、頭に光のわっかを乗っけている。服はギリシャ的なあれだし、なにより人ではあり得ないぐらいきれいな顔をしているのだ。
『どうとでも。』
再び聞こえた声は、先ほど「女神」と呼んだことへの返事らしい。
どうやら言葉は通じるようだ。そうなれば、頼れるのは女神しかいない。生きるためなら女神とでも話せるタイプだ、私は。
「あの、何ですか、ここ・・・」
『どこでもない場所です。』
「はあ・・・」
ため息が半分混じった声が出た。
この場所で、このルックスの人が言うには完璧な答えだ。
「それで、私は何でここに?」
『あなたには、今からここで異世界へ行く準備をしていただきます。』
「はぇ!!?」
本日二回目の声が出た。