2-1章 非番に任務
対外情報局の支援ドローンがマスコットのホログラムを被り、アナウンスを開始する。
『こちらは対外情報局特務課です。現在、この区域は安全のため立ち入りが制限されています。近隣住民の方々は速やかに避難してください。繰り返します、、』
伊野は野次馬をかき分け、何度も肩をぶつけながらも支援ドローンを目指す。
『現在、関係者以外の立ち入りを禁止しています。速やかに避難してください』無機質な合成音声を発する支援ドローンに止められた。
伊野は、腕輪型デバイスをかざす。
『対外情報局特務課 伊野課員、クリアランスを確認しました。』
伊野は辺りを見回し、やがて対外情報局の車両とその近くにいる3課員らしき人を見つけ、急いで駆け寄る。
「高野課長、伊野課員到着しました」
「ご苦労、非番なのに呼んで悪かったな。緊急性を要する事案だ、わかってくれ」
高野課長は長身でスラリとしている。
出世街道をひた走るエリートを具体化したような人だ。
「今回の任務は、元軍人 飯野沙峰の確保だ」
高野課長の目つきが鋭さを帯びる
「確保でありますか?」
軍人のような脅威度の高い人物に関しては、処分は選択されることが多い。
「ああ、確保だ。殺すな、生かせて捕縛だ。彼には今回別件での重大な嫌疑がかけられている」
「了解です」
そう伊野が言うと同時に、後方から武装した8課のバンが見える。
「今回の作戦は、相手、事態の特殊さから鎮圧を専門にする8課の連中の手を借りる。管轄と事件性の観点から我々3課が指揮権を持つが、、、
8課の手綱は絶対に離すな。良いな」高野課長は眼鏡をクイっとあげる。
「了解しました」伊野はネクタイを締め直す。
8課の連中が軽装でバンから出てくる。
「3課課長の高木だ、よろしく頼む。8課の笹部、飯島
俺と来い。残りの佐々木と川西は、うちの飯野とサポートに当たれ」
無言の了解、気怠げだが明らかに隙がない彼らは各々私服であっという間に人混みに紛れた。
ハッとするほど早い展開に驚いていると、初老の川西が
「どうするよ、伊野さんや」
歴戦の傭兵の風格を漂わせる。
「そうですね、サポートなので犯人の逃走経路を潰しておきましょう」風格に気圧され無難な選択をする伊野。
「そりゃもう済んでる。今ここには居ないが他にも8課員が逃走経路を完全に潰してるよ。袋の鼠さ」高野課長に勝るとも劣らない長身の佐々木が言う。
「俺らには、俺らの流儀がある。」口にタバコを咥えジッポを擦り、人混みに紛れた。
「まっ、てっ訳だ、サポートするぜあんちゃん」
初老の川西は屈託なく笑う。
伊野は現場に乗り込んだ。
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