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王子と模擬戦をする盗賊

 城の中庭へと移動した俺とメシア、シーリアス王女にパトリオット家の家族全員。

 俺とカレッジ王子以外は、従者が用意した椅子に座っている。

 メシアとシーリアス王女以外の人の前で戦うのは、少し緊張するな。

 カレッジ王子が従者に剣を用意させている間、俺はノーフォームを取り出して剣メダルを嵌める。

 片手剣形態に変形するノーフォームを、手元に用意しておいた。


「悪いなローブ殿、突然模擬戦を申し込んでしまって。シーリアスは嘘をつける程器用じゃないし、君の言葉が嘘ではないのは間違いないのだろうが……それはそれとして、剣で語り合っておきたかったんだ」


「成程、そういう事でしたか。でも正直、助かりましたよ……俺も少し、カレッジ王子との話し合いの場が欲しかったんです」


 従者が城内から走ってきて、カレッジ王子の前に跪く。

 布から剣を取り出して従者が差し出すと、カレッジ王子は軽く礼を言ってその剣を受け取った。

 一目で何となく凄いと感じる業物、ノーフォームと同じでドワーフのおっちゃんが制作した剣だろう。


「タイミング良く俺の剣が届いたんだ、ここから先は剣で語るとしようか?」


「ええ、そうしましょう……!」


 カレッジ王子は剣の切っ先を、真っ直ぐと俺に向ける構え。

 対する俺は腕を頭上に上げて、ノーフォームの切っ先がカレッジ王子の足元に向くような構えを取る。

 俺の構えを見て、カレッジ王子は何かに気付いたようにニヤリと笑った。

 この構えがシーリアス王女から教わった物だと気付いたのかもしれない、となると反撃狙いは気付かれていると思って良いだろう。


「シーリアス、そこからで良い。模擬戦開始の合図をくれ」


「了解した。兄上、ローブ殿、準備は良いな? それでは、始めっ!」


「行くぞっ!」


 シーリアス王女が叫んだ瞬間、カレッジ王子は一気に駆け出した。

 剣を高く振り上げ、真っすぐと振り下ろしてくる。

 力尽くで弾けば、上に跳ね上げて隙を作れるか?

 いや、この構えの時は焦らずに待つ。

 その為にしっかりと受け止める!


「フンッ!」


「ッ!」


 腕に力を込めて、カレッジ王子の振り下ろしを受けた。

 続いて脇腹を狙う一撃、脇をしっかりと締めてノーフォームで防ぐ。

 カレッジ王子の止まらない連撃を目で見切り、ノーフォームの刀身で耐え続けた。

 防がれる事を前提とした、間の短いカレッジ王子の剣……速いのに、重い。

 だけど、隙は……見えたっ!


「ここだっ!」


 連撃を防ぎ続ける俺に圧力をかける為に、剣の速度が上がった一撃目。

 その一撃目に合わせてノーフォームを振り、カレッジ王子の連撃を崩す。

 これが俺の反撃となる筈だったのだが……


「甘いぞっ!」


「ぐっ!?」


 体勢を崩したカレッジ王子が足を振り上げ、ノーフォームの柄を蹴り上げた。

 予想外の反撃に俺の腕は跳ね上がり、手放してしまったノーフォームが大きく宙を舞う。

 連撃を崩して油断した……まさか崩した体勢から、的確に剣の柄を蹴ってくるなんて!


「さあて、君の剣と俺の剣。2本合わせて、連撃は倍で済むと思うな!」


 カレッジ王子が大きく飛び上がり、ノーフォームを手に取った。

 右手に自分の剣、左手にノーフォームを持って俺の方に降りてくるカレッジ王子。

 成程、俺から剣を盗んだのか……だったら『盗賊』として、盗み返してやるよ!

 剣を交差させて振り下ろしてくるカレッジ王子を睨み、2本の剣の軌道をしっかりと見極める。


「【盗む】装備を盗む(イクイップスティール)ッ!」


 2本の刀身を掴み取りながら派生技を宣言する。

 カレッジ王子が目の前に着地した時には俺の右手にノーフォーム、左手にカレッジ王子の剣を盗んでいた。

 何か動き出される前に、カレッジ王子の首元にノーフォームを突き付ける。


「俺の負けか……凄いな、これが真の【盗む】。一瞬、盗まれたことを認識出来ていなかった」


「カレッジ王子こそ激しい連撃の中に、わざと隙を作って反撃を誘ったんですよね。対人経験の少なさを思い知らされましたよ」


 突き付けていたノーフォームを地面に突き刺し、カレッジ王子に右手を差し出す。

 カレッジ王子は俺の手を掴んで起き上がり、左手にある自分の剣を受け取った。

 これが人と人との戦いか……短い時間だったけど、凄い勉強になる。


「剣を通じてローブ殿の考えは、何となく分かったよ。シーリアスの為に、俺や弟妹(ていまい)を味方に付けようとしている事がね……そしてそれは、俺の目的に近いらしい」


「カレッジ王子の……目的?」


 カレッジ王子は俺の肩に腕を回し、顔を近付けてくる。

 俺の不思議そうな表情に対し、カレッジ王子は不敵な笑みを浮かべていた。


「君もシーリアスを少し利用としようしているんだ。俺も少し、利用させてもらうよ。シーリアスの為だからさ」


「っ!?」


 カレッジ王子は、何処まで俺の事を見透かしているんだ……?

 動揺している俺を、カレッジ王子はオネスト国王の正面に連れてくる。

 俺を利用するって、カレッジ王子は何を企んでいるんだ……?


「父上、俺は彼を。ローブ殿をシーリアスの許嫁に推薦します!」


「ほう……!」


 俺をシーリアス王女の許嫁に……!?

 シーリアス王女の許嫁は、ソルマじゃなかったのか……!

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