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計画を練る女騎士と魔術師と盗賊

 ハーティの背中で王国に戻りながら、俺はシーリアス王女のお願いを聞いた。

 水浴びに言っていた事から、ある程度の予想は出来ていたけれど……


「成程、やっぱりソルマとの婚約破棄ですか……」


「ああ。メシア殿に励まされ、自分も少しくらい我儘を言ってみようと思ってな……かなり無茶なお願いだとは、自覚している」


「まあハッキリ言ってしまうと、かなり難しいと思います。貴族と王族の政略結婚を、俺みたいな庶民の冒険者がふいにしろって事ですから」


「むぅ……改めて言葉にされると、自分はとんでもない事をしようとしてるのだな……」


「ローブ、どうにか出来ない……?」


 俺の言葉にシーリアス王女は俯き、メシアは心配そうな瞳を向けてくる。

 確かに無茶なお願いだと思うし、成功させるのはかなり難しい筈だ。

 だから確実に出来るとは言い切れないけど、絶対に出来ないとも言い切らない。


「話は最後まで聞いてください、俺は別に諦めさせたいわけじゃないんですから。そのお願いを叶える為に、シーリアス王女に聞きたい事が2つあります」


「な、何だろうか? 答えられる事であれば良いのだが……」


「まず1つ。ソルマが許嫁の理由は貴族としての強さですか? それとも、冒険者としての強さですか?」


「それは……確か、冒険者としての強さだった筈だ。そうか、確かにその点は大事だな」


 俺の問いかけに答えながら、シーリアス王女は納得したように頷く。

 成程、これなら俺でも割り込みやすい。

 メシアは今の質問の意味が解らなかったようで、首を傾げていた。


「ねえ、ローブ……今の2つ、違いがあるの……?」


「微妙な違いではあるけどな。貴族としての強さっていうのは、他国と戦争になってしまった時に適切な指揮を下せるかという司令官としての能力。冒険者としての強さは、戦場での個人としての能力だ」


「冒険者としての強力な個人の強さを、自分と結婚させる事で王国に繋ぎとめようとしていたのだ。しかし、個人としての強力な力であれば……」


「もしかして……ワタシやローブなら、代わる事が出来る?」


「ああ、俺やメシアがソルマよりも強いと証明出来たらな。まあアイツは司令官としての能力もあるから、それだけじゃ不十分かもしれないけど」


 メシアは間違いなくソルマより強い、俺は……断言できないが、もう俺の方が強いと思う。

 シーリアス王女が婚約破棄のお詫びとして、俺とメシアという個人の力を手土産にすれば納得してもらえる筈だ。

 だがそれだけでは心許ない、シーリアス王女以外の後押しが欲しい。


「納得した……話の途中で、ごめんなさい……!」


「大丈夫だ、気にしないでくれ。それではシーリアス王女、2つ目の質問です。シーリアス王女のご兄弟に、俺やメシアの味方になってくれそうな人が居ますか?」


「ああ。兄上が1人、姉上が2人に弟が2人、妹が1人居るが……うん、皆が自分やローブ殿達の味方になってくれるだろう。外堀を埋める事は可能だ」


「両親は例え味方になりたくても婚約を受け入れた手前、発言し辛いでしょうからね。せめてご兄弟を味方につけて、発言に力を付けたいです」


「ローブ、凄いね……そんな事、直ぐに思いつくなんて……!」


「確かに。難しいと言いながら直ぐに策を思いつくとは、ローブ殿は切れ者なのだな」


 メシアとシーリアス王女が、尊敬の眼差しのような物を俺に向けてくる。

 その視線が恥ずかしくて、俺は頬を掻きながら視線を逸らした。


「直ぐに思いついたわけじゃないんです。水浴び場でシーリアス王女に言われた時から、ずっと考えていただけで……それに切れ者だったら、もっと良い案を思いついてるだろうし」


「ローブ殿……君はあの時から、既に考えていてくれたのか……!」


「やっぱり、ローブは……優しいね」


「……優しい、か」


 メシアの言葉が、俺の心に引っかかってしまった。

 シーリアス王女のこの状況を、俺は利用しようとしている。

 理不尽な言いがかりで俺を追放したソルマへの復讐を、シーリアス王女の願いを叶える為だと言い訳しているんだ。

 だから俺は、優しくない。


「ローブ殿、どうかしたのか?」


「いや、何でもないですよ。取り合えず付け入る隙が見つかって良かったです……と言っても、どうやってソルマより強い事を証明するかとか、シーリアス王女のご兄弟に認めてもらうとか……まだまだ考えなきゃいけない事はあるんですけど」


「うーむ……自分の兄弟に関しては恐らくだが、問題ないと思う。デーモン60匹を討伐した実績と、自分の命を救ってくれた恩があるのだ。兄弟達だけでなく、両親にも良い印象が与えられる」


「となると、ワタシとローブの……実力の証明……戦って、叩きのめしてしまえば……早いのに……」


「ソルマと真っ向勝負ね、確かにそれが一番手っ取り早いな。まあでも勝負を挑んだとしても、ソルマに引き受けるメリットが無いし……」


 というかまずソルマ達パーティーの居場所すら分からない。

 偶然ソルマ達が王国に戻ってきていて、勝負できるなんて展開はあり得ないだろう。

 そう思っていたのだが……ソルマとの直接勝負の日は近い。

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